日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2009年1月8日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

「軽」の大きなムーブメントを作ってきたホンダ

ホンダ・トゥデイはそのスタイリッシュなボディが第一の魅力のポイントであった。全体のフォルムは「軽」とは思えない
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 ホンダという会社は面白い。いまでこそ、ひとつのホンダらしさというものが備わっているが、いまから四半世紀前のホンダは、ひとつホンダのなかに、いくつものちがった個性が詰まっているようであった。1980年代、小型車のシティで、ちょっとファニーな個性を見せたホンダが、次に送り出したのは「軽」、それもシティとは打って変わってスタイリッシュで、今日のフィットにも似た印象を与えたものだ。

 振り返ってみれば、ホンダは「軽」でひとつの大きなムーブメントをつくってきた。いうまでもない、1960年代のホンダNシリーズ。それがバリバリの若者好みのクルマだったのに、1970年代に入るや「モーレツからビューティフル」に変わり身早くホンダ・ライフを展開した。その揚げ句に「軽」からはさっさと撤退してしまい、10数年振りに復活したのが、このトゥデイだったという経緯をたどる。

 さて、その「軽」、ホンダ・トゥデイは見ての通りのスタイリッシュなボディが第一のアピール点であった。「軽」といえば小さなサイズを補うために背を高くしたり、価格を抑えるためにチープなつくりになってしまう、というのが相場だったが、トゥデイはどこから見ても格好がよかった。まるでスタイリングを検討するレンダリングがそのまま市販されたような印象があった。