日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2008年10月23日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

有史以前のスーパーカー

「ガルウイング」と愛称されたメルセデス・ベンツ300SL。かもめ(ガル)の翼のように上方に跳ね上げるドアが最大の特徴
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 いまから半世紀以上前に誕生したメルセデス・ベンツ300SLは、いうなれば有史以前のスーパーカーというようなものであった。スーパーカーという並外れた性能を持つクルマは、その現実離れしたスペックがそのまま夢の存在のようになって、一時は子供たちのアイドルのようにもてはやされた。その「スーパーカー・ブーム」はランボルギーニやフェラーリなど1970年代の超高性能GTが主役だったが、メルセデス・ベンツ300SLはそれよりひと昔前、1954年に誕生している。

 ダイムラー・ベンツ社は、世界最初の自動車というものを送り出してから、つねに世界をリードするような存在でありつづけた。レースにも積極的に参加、たとえば1952年のル・マン24時間レースで1-2フィニッシュをしてみせている。そんなレースでの成果をフィードバックしてつくり出した超高性能スポーツカーというのがメルセデス・ベンツ300SLであった。