日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2008年9月11日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

モンスターが誕生した経緯

ACコブラ427は、本来2.0L級だった英国ACエースに、実にその3.5倍、7.0LのV8エンジンを搭載した古典的スーパーカーだ
[画像のクリックで拡大表示]

 正式な名前でいうと、ACコブラ427という。地域によってはシェルビー・コブラ427。この「427」の数字は427cu.in.(キュービック・インチ、約7L)というこのクルマに搭載されたエンジン排気量を示している。

 いまでこそ少し沈静化しているけれど、一時期ACコブラの人気はすさまじいものがあった。とにかく速さでいったらフェラーリやポルシェをも凌ぐ、公道のモンスターというようないわれ方をしたものだ。そもそもこのACコブラのベースになっているACエースというクルマが誕生したとき、その心臓に収められたのは直列6気筒1991ccエンジンであった。cu.in.に直すと121ほどになる。ほとんどボディ関係はそのままにエンジンを3.5倍の排気量の427にしてしまったのだから、速いのは当然、むしろ全体のバランスはどうなってしまうのだろうか、と違う心配がでてきそうだ。

 それにしても、このようなとんでもないモンスターが誕生した経緯はとても興味あることではないだろうか。AC社は英国の会社である。ACエースは、もともとはクルマ好き、スポーツカー好きが昂じてつくり出されたクルマ。レーシング・ドライバーのクリフ・デイビスが自分でレースに出場するためにつくったスポーツカーである。ACエースはフェラーリの出世作、フェラーリ166に似ているなどといわれたが、それもそのはず、デイビスはフェラーリのようなスポーツカーが欲しくて、自分のスポーツカーをつくったのだ。