パワーの象徴として、その名を残したACコブラ427

ACコブラはその後少なからぬ数の「レプリカ」を生んだ。写真は20年後につくられた英国製のレプリカ。B.R.A289コブラ。FRPボディであった
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 表題のモンスターに達するのは1965年。この時には、シェルビーとAC社の共同開発という形で、より強化したシャシー(基本レイアウトはこれまでのものを踏襲しつつも、メインのパイプを大径化するなどした)、さらには見た目も大きくフレアしたホイールアーチ部分などで、大した迫力を醸し出した。なにしろエンジンは「289」「427」の2タイプ。ついに7.0Lエンジン搭載モデルが登場するのである。それは最大390PSも発揮し、アンバランスを楽しむ、「ジャジャ馬」を乗りこなす面白さを提供した。選ばれた人だけが楽しめるクルマ、というようなACコブラ427はパワーの象徴として、その名を残すことになるのだった。

 ACコブラ289(4.7L)はおもに欧州で売られ、米国ではシェルビー・コブラ427として売られたのは、ユーザーの好みをそのまま反映した、というところだろう。無差別級、なにがなんでも速ければいいという米国人に対し、欧州の人たちは限られた排気量の中でパワーを競う、というのが好みだったようだ。

 コブラについては、もうひとつの話題として、その後いくつもの「レプリカ」モデルがつくられた、ということがある。それは人気の高さだけでなく、もともとが改造モデルのようなコブラということもあり、安価で手に入る大排気量エンジンを使って大パワーを得るという手法が通用した。欧州スーパーカーのような超高性能エンジンを開発することが技術の見せどころ、というような生き方とは異なることから、手がけやすいというメリットもあったのだった。

著者/いのうえ・こーいち
理工系大学院修了。日本写真家協会(JPS)、日本写真作家協会(JPA)会員。 主な連載誌は小学館「ラピタ」、日本カメラ社「日本カメラ」、エイ出版 「東京生活」、サドルシューズ「ミニフリーク」など。クルマをはじめとして,乗り物全般を愛好する。著書には「客車好き」(JTBパブリッシング)、「ぼくの好きな時代、ぼくの好きな車たち」(エイ出版)、「クルマ好きはやっぱりフェラーリが好き」(二玄社)、「アルファ156」(経林書房)、「世界の自動車100点」(講談社)、「世界の名車」30巻(保育社)、「男の鉄道ホビイ」(エイ出版社)などがある。