キャロル・シェルビーによる強化からコブラに進化した

7.0LのV8、OHVユニットは米国車用の量産品。それをチューニングして最大390PSまで得、ACコブラに並外れた性能を与えた
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 そのデイビスのスポーツカーは性能もよく、人気になった。それに目を付けたAC社が、まずは100台量産するというところから歴史ははじまった。エンジンは前述の1991cc、パワーは80PSだった。このACエースは目標以上に売れた。顧客の「より高性能を」という希望に応えるべく、エンジンのチューニングアップをするが、もともとが80PSのエンジンでは102PSまでがせいぜいであった。そこでブリストル社製の130PSエンジンが導入されたりしたが、1960年代に入って様子は一変する。

 それまで、英国内のレースなどで「2Lクラス」に出場して好成績を上げ、それが人気のポイントにもなっていたのだが、ついにクラスを超えて、フォード製のゼファー用2.6Lエンジン搭載車をACエース2.6の名前で送り出した。これはそんなにヒットはしなかったが、思わぬ宣伝効果をもたらした。

ACコブラのもうひとつの魅力は、伝統的スポーツカーの雰囲気をきっちりと備えたインテリア。欧米混血のメリットというものだ
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 レーシング・ドライバーとして名を馳せた米国のキャロル・シェルビーの目に留まることとなり、一気にモンスターにまで発展してしまうのだ。シェルビーは、米国フォードのV8大排気量エンジンを搭載し、飛躍的に性能アップを図る。まずは「260」(約4.2L)エンジンが選ばれた。幸いなことにACエースのエンジン・ルームは余裕があり、しかもシャシーにはその高性能を受け止めるだけのマージンがあった。つまり、シャシーは古典的なラダー・フレームながら、一部を強化、変更することでこの大パワーに対応。具体的には、ステアリングをラック&ピニオンにし、ブレーキのディスク化などが行なわれた。そして、コブラという名前をもらって世界中に話題を呼んだのである。