日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2008年5月29日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

「名門・マセラティ」の歴史は栄光と挫折の繰り返し

ボーラはマセラティ・ブランドのスーパーカー。ジウジアーロ・デザインのボディはなかなかの実用性を備える「大人のスーパーカー」だ
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 マセラティは、イタリアの伝統あるブランドのひとつで、イタリア国内ではたとえばフェラーリ、ランボルギーニよりもずっと「名門」の響きを持っているという。今日でも、上級でスーパーな性能のクーペやサルーンで独自の地歩を保っているが、上級車ばかりをつくってきただけに、その歴史は栄光と挫折の繰り返しであった。

 1960-70年代にかけて、世界的にスーパーな性能を持った高級高性能なイタリアン・ エキゾティックカーが世界的に流行した時代がある。それこそフェラーリ「デイトナ」「BB」やランボルギーニの「ミウラ」や「カウンタック」が世界最速を競い、世界中のミリオネアは富の証としてそれらをガレージに納めた。そんな時期に、マセラティもボーラという名のスーパーカーを送り出している。

 ボーラの特徴は、スーパーカーでありながら実用性と完成度を持っていた、ということに尽きる。いま名前を挙げたフェラーリやランボルギーニは、それこそ世界一、速さだけを(それも実際には出せるかどうかいささか疑問視されるカタログ上の数値として)追い求めたシンボリックな存在であった。