個人向けを含め全部でわずか36台

インテリアはまったく実務的。ホールドのいいバケット・シートに必要最小限のメーター類が装備されるだけ。まさにレース用
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 ボディは軽量化のためにアルミニウムを多く使い、鋼管の骨組みにアルミ・パネルを貼り付ける工法でまとめられている。先の風洞実験の成果として、極端なロングノーズ/ファストバックという基本的スタイリングのほか、いくつもの注目すべき工夫が凝らされた。「カムテイル」という、すぱっと切り落としたようなリアの処理+エア・スポイラーは、フェラーリ250GTOを大いに特徴づけた。

 ブレーキ冷却にも効果的なホイール後方のエアスクープが設けられた。先端の「こはぜ状」のエア・インテークは、下面にも設けられており、これはサーキットの状況、天候などに合わせて開閉ができた。この辺りまでの細かい配慮は、昨今のF-1にも通じるものがある。

 そうしてできあがったフェラーリ250GTOは、目論見通り、3年にわたってフェラーリに世界チャンピオンシップをもたらして見せたから名声は一気に高まった。「GTO」というネイミングも「GTレースにホモロゲートするための特別仕様」という主旨だというから、この世界一を欲するミリオネアが現われるのも当然だったかも知れない。結局、個人向けを含め全部で36台がつくられたフェラーリ250GTOは、いまもすべてのオーナーが解っているほどの「名品」として、残されている。

著者/いのうえ・こーいち
理工系大学院修了。日本写真家協会(JPS)、日本写真作家協会(JPA)会員。 主な連載誌は小学館「ラピタ」、日本カメラ社「日本カメラ」、エイ出版 「東京生活」、サドルシューズ「ミニフリーク」など。クルマをはじめとして,乗り物全般を愛好する。著書には「客車好き」(JTBパブリッシング)、「ぼくの好きな時代、ぼくの好きな車たち」(エイ出版)、「クルマ好きはやっぱりフェラーリが好き」(二玄社)、「アルファ156」(経林書房)、「世界の自動車100点」(講談社)、「世界の名車」30巻(保育社)、「男の鉄道ホビイ」(エイ出版社)などがある。