日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2007年9月20日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

バブルの時期には数十億円で取引された

フェラーリ250GTOのフロント・ビュー。先端に「こはぜ状」のエア・インテークがあるが、これはレース状態に合わせて開閉可能
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 古今東西の乗用車のなかで、世界的にもっとも高い評価を受けている“コレクターズ・アイテム”といえば、このフェラーリ250GTOの名前が筆頭にあがることは稀ではない。卑近なことを述べるなら、バブルの時期には円換算、数十億円で取引された別世界のクルマ。

 スポーツカーとレースカーとの境界線が明確でなかった良き時代、世界のチャンピオンシップに輝くレースカーを購入して、プライベートに楽しむこともできたのだ。そんな、頂点に輝く存在は、なぜそれだけの価値を得るのか。メカニズム上の特徴はなにか。クルマのなかにはこういうものもある、そんな感慨でみていただいてもいい。そういう視点からフェラーリ250GTOを採り上げよう。

 先にフェラーリ250GTOのメカニズム上の特徴を探ってみる。もともとはフェラーリ250GTという「GTカー」(グラントゥーリズモ)をベースに、それをレースで勝てるマシーン並みにチューニングアップしたもの。すなわち、エンジンはパワーアップ。ボディはできるだけ軽量化し足周りもチューニングする。

 フェラーリ250GTOで特徴的なのは、それらに加え、空力的な考察を加えたこと。まだ真剣に空力などに注目される以前の1950年代の話で、ピサ大学に大きな風洞をつくって実験を繰り返した、という話が残されている。