日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2007年4月5日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

シティの個性的な世界を拡げたカブリオレ

ホンダの小型車、シティに追加されたシティ・カブリオレ。昨今はやりの4人乗りオープンの先駆け。幌関係はイタリア、ピニンファリーナがデザイン
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 それは「湘南」ナンバーが誕生するよりずっと前のことであった。

 「このクルマはいかにも湘南の雰囲気が似合うと思い、広報車には地元の横浜ナンバーを用意しました」

 と、色とりどりのカラーのコンパクトなカブリオレの発表会で、ホンダの広報氏が言ったことばが強く印象に残っている。当時のホンダの小型車、シティのバリエーションとして、シティ・カブリオレが登場したのは1984年7月のことである。それにはふたつの意義があった。

 ひとつは、1970年に日産フェアレディ2000(SR311)が生産中止されて以来、わが国では10余年振りに復活した「オープンカー」であったこと。もうひとつは、ホンダの小型モデル、シティの個性的な世界を拡げたこと、である。

 ホンダ・シティは1981年に新しいコンセプトで登場したホンダの小型車である。「世界のベーシックカー」として1972年にシビックを送り出し、つづいてひとつ上のクラス、アコードを追加。シビック自身も当初の1.2リットルから1.3/1.5リットル級へと上方移行したことを受けて、ふたたび小型のシティが開発されたのは、「原点復帰」を思わせた。