日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2007年3月22日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

ボルシェ930ターボとの熾烈な「世界初」争いを制する

BMWが送り出した「世界初の量産ターボカー」たるBMW2002ターボ。コンパクトなボディで高性能を発揮
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 ボルシェ930ターボと熾烈な争いをした上に、「世界初」を実現したBMW2002ターボは、1973年のフランクフルト・ショーで発表された。折しも世界的な「石油ショック」のさなか。わが国でも、燃費の向上、排出ガス対策などに忙しく、次々にスポーティなクルマが消滅していった時期である。そこにターボカーの登場は、大きな流れに逆行するようにも思われた。

 しかし、ドイツという国は従来の流れを停めようとなしなかった。それまでも、トゥーリングカー・レースなどでターボ・チャージャーの効用とその実用化のノウハウを蓄積してきたBMWとポルシェは、サーキットでの闘いをそのまま市販車の開発競争に持ち込んだのであった。

 片や、名だたる高性能車たるポルシェだ。登場したポルシェ930ターボは、大きなフェンダに太いタイヤを履き、リアには豪快なテール・ウィングをたなびかせるスーパーカー風のスタイル。それに対してBMW2002ターボは、アウトラインだけを見れば、コンパクトな四角いサルーン・ボディの至極大人しいものであった。

 というのも、基本的には当時の人気モデル、BMW2002tiiをベースにつくられた、その高性能ヴァージョン、BMW[02」シリーズの最高峰というような位置づけだったからである。だが、ボディ内外ともその仕掛けはなかなかの迫力に満ちたものといえた。