日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2006年11月9日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

ハイドロニュウマティックと呼ぶ「水と空気」のシステム

ユニークなスタイリングのシトロエンDS。だがそのメカニズムはもっとユニークだ。写真はID19と呼ばれる「DS」シリーズのひとつ
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 クルマは20世紀最大の産物である、というヒトが少なくない。陸上交通の主役になったというだけでなく、個人単位での移動を可能にしたという功績は、クルマをして最大の産物といわしむる所以であろうか。

 さて、そんな20世紀の真ん中頃に誕生し、もっとも革新的であったクルマとして、シトロエンDSが忘れられない。

 つい先頃わが国でも輸入販売が開始されたシトロエンC6は、「DS」を強く意識してつくられた、現代シトロエンのフラッグシップだという。なるほど、エレクトロニクスをはじめとして現代技術でアレインジメントした「DS」の再来という主張は理解できる。

 逆にいうならば、「DS」はまだエレキの力を借りることのできない時代の理想形というものであった。そこにちりばめられていた、半世紀前の技術はとても興味深いものだ。

 エレキならぬシトロエンDSのコントロールの中枢を司っていたのは「ハイドロニュウマティック」と呼ばれた「水と空気」のシステムである。