日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2006年9月28日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

超ド級のエンジンと軽量ボディ

「スーパーカー」の起源といわれるランボルギーニ・ミウラ。この非日常的なスタイリングは、エンジンの横置きミッド搭載によって実現した

 「スーパーカー」というジャンルがある。子供の頃、あれほど憧れ熱狂した「スーパーカー」もオトナになって、しかも技術系のモロモロが解ってくると、すっかり現実に引き戻されてしまって、なにがスーパーだったのか不思議に思えたりする。

 確かに、スーパーカーの多くは、超ド級のエンジンを軽量なボディに組み合わせ、いわばアンバランスによって並外れた性能を実現したようなもの、といっていい。だが、斬新なスタイリングをはじめとして、見るべきものがなかったか、というとそうではない。

 スーパーカーの起源、というようにいわれるのは1960年代中に登場したランボルギーニ・ミウラである。それまでも超高性能車というようなクルマはあったけれど、ミウラはいくつかの新機軸を導入して、あの性能、スタイリングを実現した。

 イタリアのクルマのつくり方、特にスタイリングを重視したボディ周りのつくり方は独特だ。デザイナーが描いた絵やモデルを元に、カロッツェリアと呼ばれる伝統的な工房が一気にプロトタイプに仕上げる。それはエンジンなどほとんどすべてのメカニカル部分を搭載し、実際に走れるものが多い。デザイナーはメカニカル部分にも造詣が深く、それがユニークなデザインを完成させるポイントだったりする。

 話をミウラに戻すと、あの低くダイナミックなスタイリング、それはメカニカル部分のいくつかのアイデアによって実現した。

 ランボルギーニは、フェラーリを仮想敵のようにして生まれたブランドだ。フェラーリに負けてはならじと、当時最高峰のV12気筒エンジンを最初のモデルから標準的に使用してきた。ミウラの計画がでたときも、当然そのV12エンジンを搭載することが前提になる。

 しかし、巨大なV12エンジンを普通にフロントに搭載したのでは、凡庸なスタイリングのクルマしか生まれない。事実、ミウラ以前のランボルギーニ車は、あまり印象に残らない普通の高性能GTでしかなかった。