日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2008年2月28日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

物理的、戦略的な策が込められていた

セリカ・リフトバックは1970年にデビューしたセリカの追加バージョンといった印象であったが、人気は「LB」に集中していたようだ
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 1970年にデビューしたトヨタ・セリカをこのコラムで採り上げた。斬新なスタイリングもだが、それ以上に「フルチョイス・システム」と名付けた生産/販売システム、それによって、いっそう「パーソナルカー」という個性を主張、個人の乗り物というイメージをつくり上げたことが、振り返ってみて印象に残っている。

 目論見通りに、セリカは若者のアイドルとなった。特別なクルマという意味からスペシャルティカー、スポーツカーと実用車の中間にあるスポーティカーというようなことばもセリカが元であったと記憶する。ヒット作になったことも事実だが、ちょっと予想と違うことも起きた。せっかくの「フルチョイス・システム」だったが、結局は最高バージョンのセリカGTのみがスポットを浴びることとなり、最廉価の「ET」のセリカを見る機会はほとんどなかった。

 そうしたバックグラウンドを踏まえて、トヨタ・セリカLBを採り上げる。

 トヨタ・セリカLBは、1973年4月に発売された。「LB」とはリフトバックの意で、セリカ・リフトバックと呼ばれ、書くときはLBと書くけれどセリカ・エル・ビーと呼ばれることはなかった。基本的にはセリカの派生モデルとしてバリエーション拡大のために追加されたものだが、いくつかの物理的、戦略的な策が込められていた。