日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2007年7月19日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

ニ輪車を想定した規定を四輪車で実現

全長3mにも満たない当時の「軽」サイズにありながら、乗用車らしいスタイリングを実現したキャロル
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 今でこそ「軽」自動車は小型車とほとんど変わらない、時には小型車以上の設備を絢爛に纏う特異の存在になっているが、いまから40年前、文字通り乗用車が個人のものとして普及しはじめた時代には、まずは「軽」で我慢しようか、と選ばれる存在であった。

 排気量360cc以下、長さ3.0m以下、幅1.3m以下、高さ2.0m以下という規制(昭和29年改正)のなか、わが国の「軽」は普及したのであった。それにしても厳しい規制だが、実はこれはニ輪車を想定して定められたものを、車輪数の規制がなかったのをいいことに、そのまま四輪車で実現してしまったいきさつがあるという。

 初期のライトカーの時代を経て、昭和33年に登場したスバル360、昭和35年のマツダR360クーペが第一期の「軽」の普及時代をつくった。表題のマツダ・キャロルはそれを受けて、昭和37年2月に登場している。

 ここでキャロルを採り上げた理由はそんな厳しい「軽」の枠のなかで、小型車に匹敵するスペック、メカニズムをともがいた跡がみられるから。

 だがしかし、「軽」自動車とは本来、ニ輪車を含む自動車の普及のために特別に優遇する、いわば暫定的な恩典であった。いまの、小型車に迫る性能、小型車を上回るような装備の数々、時に小型車よりも悪い燃費だったりする「軽」の生き方に、いささかの疑問を投げかけるきっかけにできるかも知れない。