日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2007年6月7日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

トヨタは「ヨタ・ハチ」

トヨタ・スポーツ800は軽飛行機を思わせるような丸いシェイプが特徴。小さいパワーで高性能を得るため軽量に配慮された
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 ホンダの「エス・ハチ」に対してトヨタは「ヨタ・ハチ」。クルマ好きの間ではいまだにそう呼び慣わされている一台の小さなスポーツカーがある。それはたかだか1Lにも満たないエンジンを搭載した小さなスポーツカーではあるが、技術的に、またその歴史的に注目すべき点をいくつも持ち合わせた、偉大なヒストリックカーのひとつ、ということができよう。

 そのクルマ、トヨタ・スポーツ800がデビーしたのは1965年のことである。それより3年前の、全日本自動車ショウで飾られた「パブリカ・スポーツ」は個性的で注目すべき点をいくつも持った、文字通りのプロトタイプであった。

 デザインはブルーバード110/210のデザイナーとして知られる佐藤章蔵氏。まだ自動車デザイナーという独立した職種はなく、工業デザイナーの氏が起用されたのだが、それでも、デザインからスタートしたクルマということは特筆されることであった。

 デザインとともに明快な目的を持っていたことも、トヨタ・スポーツ800のユニークさのポイントになる。トヨタの大衆車、パブリカのコンポーネンツを利用すること、つまり、小排気量の⾮力なエンジンで、できるだけスポーツカーとしての性能を持たせる。そのために空力に優れ軽量であることが目標とされた。