日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2007年4月19日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。

「GT-R」の前身というべきモデル

わが国に本格的モータースポーツが登場して間もない頃のスター、スカイラインGT。6気筒エンジンを搭載するためにエンジンルームを拡大
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 以前スカイラインGT-Rを本欄で採り上げた(第1回)が、その「GT-R」の前身というべきモデルが、1964年に発表されたスカイラインGTである。

 その前年、モデルチェンジされたニ代目スカイライン1500(S50系)の時代に登場した。手法は簡単で、本来1.5リッター級のスカイラインに、ひとクラス上、プリンス・グロリア・スーパー6用に開発された直列6気筒2.0リッターエンジンを押し込んで、とにもかくにもハイパワーを実現した、というもの。

 しかし、手法は簡単でもそれを実現した背景や実際のハード、ソフトはなかなか興味深いものがある。

 1963年にはじまった「日本グランプリ」は、わが国のモータースポーツの本格的幕開けというものであった。ホンダがつくった鈴鹿サーキットに、欧州の本格的スポーツカーがやってきてデモンストレーションし、一躍モータースポーツ・ブームを作り出した。

 レースはクルマにとって偉大な「実験場」であり、「宣伝の場」といわれてきた。それがそのまま発展途上にあった当時のわが国産乗用車メーカーに押し寄せてきたのである。発展途上、つまり未成熟であったためによけいに個性的なクルマが生まれる土壌があった。