日経BPnet セカンドステージに「くるまのわざ」として連載していたものを再編集して掲載しました。初出は2008年11月6日です。記事の内容は、執筆時点の情報に基づいています。
「史上最強のスカイライン」を謳った日産スカイラインRSターボだったが、「GTR」の持つカリスマ性には太刀打ちできなかった
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GT-Rを超えるクルマを待ちわびていた

 かつての佳き時代を知る者にとっても、現代のクルマ好きにとっても、「GT-R」というネーミングは一種独特の憧れを抱かせる魔法の呪文のようである。「GT-R」と聞くだけで、日産スカイラインというモデル名とともにレーシング・スピリッツを受け継ぐ、飛びきり速いクルマを思い浮かべる。

 1969年に登場したPGC10型初代スカイラインGT-Rにはじまり、1973年のKPGC110型までの第一期、待望のうちに1989年に登場したR32型から2002年にフェードアウトしたR34型に至る第二期、そして現在もたくさんのバックオーダーを抱える第三期というべき現代の日産GT-R(ついにスカイラインのネーミングが外された)ことR35型に至るまで、「GT-R」の歴史はひとつの物語になりそうなほどだ。

 しかし、第一期のおわりから第二期までのいわば「空白」の16年の間、もはや「GT-R」のようなクルマは二度と現れないという絶望感と、一方では速いクルマの出現を渇望する期待感とで充満していた。ちょうど石油ショック、排出ガス規制など、クルマにとって嬉しくない時代を経験して、期待は一層高まっていた。