「薄く広く」持っている知識でアイデアを練る

栗俣: 『イサック』はもちろん、真刈先生は作品ごとにどんどん新しい内容にチャレンジしていきますよね。

真刈: 新しいことにチャレンジしているつもりは全くありません。好きなこと、ずっと興味を持ってきたことがどこかでちゃんと結び付いて、“ぼわーっ”と1つになっているという感じですね。だから、「今まではこっちのジャンルだったけれど、次はこっちのジャンルに挑戦」というつもりはないんです。

   子どもの頃、父親から「男というものは1つのことをとことん追究するものだ。お前のように物事を広く薄くしか知らない人間は最低だ」とよく言われました。こちらもいい年になってから、「昔、おやじによく言われたように、薄く広く知っていることを生かして仕事にしてきた」と言ったら、父親は嫌な顔をしていましたが(笑)。

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役に立たない知識でも、「知る」ことが大事

栗俣: 『イサック』の次にこんなものを描きたいという構想はありますか?

真刈: 実際に、今進めているものがあります。以前、『スパイの家』という漫画を連載していましたが、スパイを題材にしたきっかけは、朝日新聞を辞めてプロの探検家になったという角幡さん(編集注:角幡唯介氏。1976年生まれのノンフィクション作家、探検家)の本でした。「私はみんなが就職を考える時期になっても、地理的に今も知られていない土地を探検する19世紀的な探検家になりたかった」というようなことを書いてあるあとがきを読んで、「自分が一番なりたかったものは一体なんだったんだろう」とそのとき初めて考えたんですよ。

   そうやって考えたときに出てきたのが、スパイだった。子どもの頃から憧れていたんですよ。それをもとに『スパイの家』という作品ができましたが、まだ描き足りないと感じています。

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栗俣: スパイに関して。

真刈: そうです。ただ、一番面白いと思う中東がなかなか自由に取材できないという問題があります。中東は大好きな場所なのですが。

栗俣: 知識欲がとても強いんですね。

真刈: どんなことでもいいのですが、「知る」ことが好きなんです。何の役に立つというわけではなくても、これまで知らなかったことが分かって「へえ、そうだったんだ」と思える瞬間がとても好きです。

(構成/樋口可奈子、写真/稲垣純也)

真刈信二氏が出演するイベントを下記の通り開催します。
イベント名:『ビジネスの極意は漫画家に学べ(第2回イサック)』
日時:2018年4月26日(木)19:00~21:00(チケット販売は18:00〜、開場は18:50)

会場: TSUTAYA BOOK APARTMENT4階 COWORKING SPACE(03-5315-4077)
料金: 税抜き2500円(イラスト入り直筆サイン入りの『イサック』3巻とドリンク付き)
申し込み方法:店舗に直接電話で問い合わせ。定員(30人)に達し次第、受付終了