就任早々、「ガチャ問題」に直面

――JASGAとの合併、レーティングの整備に関しては会長に就任される前からある程度想定できた課題と言えますが、想定外なことはありましたか。

岡村氏: JASGAと合併後ほどなくして巻き起こった「ガチャ問題」ですね。ゲーム中にランダムで入手できるアイテムの提供確率の表記が、実際よりも高く書かれているのではないかと問題になりました。さすがにこうした問題は想定のしようがなかったですね。
 個別に見れば、当時でもきちんと対処できていたメーカーはありましたが、金融機関などと違って法務に精通した人のいない会社がほとんど。悪意の有無ではなく、それ以前に業界として必要な知識が足りていませんでした。そこでガチャの確率表記など問題とされた部分に関して行政を交えて徹底的に話し合い、ユーザーが安心して安全に遊べて、事業者側も合意できるガイドライン(詳細は「ネットワークゲームにおけるランダム型アイテム提供方式運営ガイドライン」を参照)を定めたのです。

――現在は提供確率が画面に明確に表示されるようになりましたね。

岡村氏: たとえば「10%の確率で出現」と書かれたときに、「10回ガチャを引けば確実に1回は当たる」という勘違いが生まれ、目当てのキャラクターが出るまで多額のお金を注ぎ込んでしまう人が多数いたことが問題となりました。そこで誤認させないよう、努めているわけです。ゲーム内で何かを購入することについても、今では何にどれだけお金が必要なのかといった情報を、なるべく詳細に表示するように定めています。
 CESAと合併する前のJASGAも自主規制の枠組みを定めて通達を出すなどしていたのですが、参入メーカーが増えてカバーしきれなかった部分がありました。ですから、ガイドラインを定めてからは周知徹底と啓発にはCESAとして相当力を入れています。

――現在は「ガチャ」そのものを問題視する声をあまり聞かなくなったように思います。

岡村氏: 前述のガイドラインを、JOGA(一般社団法人日本オンラインゲーム協会)やMCF(一般社団法人モバイル・コンテンツ・フォーラム)といった他団体とも話し合いを進め、結果的にゲーム産業全体の統一的な動きとしてまとめ上げられたのはとてもよかったと思います。今にして思えばあれはゲーム業界が成熟するフェーズだったのでしょう。

――スマートフォンが高性能化し、家庭用ゲーム機とそん色のないゲームが遊べるようになったからこそ巻き起こった問題でしたね。

岡村氏: リアルタイムにオンラインで資金を決済できる高性能なコンピューターを全員が持ち歩く、まさに現代ならではの問題です。それに関連して、ゲーム内で使用するアイテム(道具)が「通貨」に当たるような場合、ゲーム会社は資金決済法への対応が必要となります。そうしたことへの理解や業界としての環境整備についても力を入れて取り組みました。
 コンピューターがスタンドアローンな時代に出発したCESAとしては、JASGAと合併した出会い頭にいきなり大きな問題に直面したわけで、そんな折りに会長職を任されていたことは、ある意味非常にエキサイティングでした。

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