駅前にあるのが羨ましい

 帰り際に常連さんに、この店の良さを聞いてみた。

「気負いなく、さっと入れるでしょ。それから、店員と向かい合う。この呼吸が心地いいんだよ」

 なるほど。だが、この心地よい呼吸は、店員とお客との間だけでなく、お客とお客との間にもある。冒頭で、お互いに邪魔し合うことなく、タイミング良く注文していく様子を紹介したが、お客が長居せずに回転良く入れ替わっていくのもいい。常連同士で話が盛り上がるというのではなく、「心得ている」お客が集まっているという雰囲気がとても心地よいのである。

 そういえば、こんなシーンもあった。2人連れが入ってきた時に、詰めれば座れるという状態だった。お客からは後が見えないので、店員がすかさず「すみません。お二人なんで詰めていただけますか」とお願いする。すると、頼まれたお客も「ああいいよ」とさっと隣に移る。こういうことが言えない店とつい嫌な顔をしてしまうお客が案外多いのだ。

 店員とお客が共同で良い雰囲気を作っている店――これが繁盛の一番の理由ではないだろうか。

 東京・大井町の「きむきむ」同様、駅前にあるのが羨ましいお店である。

店員とお客が共同で良い雰囲気を作っている店
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取材情報
■取材日: 2015年4月5日
■店 名: もつ焼き 坊ちゃん 津田沼
■住 所: 千葉県習志野市津田沼1-2-14
森川 滋之(もりかわ・しげゆき)
広告戦略コンサルタント、ライター
森川 滋之

1963年金沢生まれ。本籍大阪。千葉育ち・在住。京都大学文学部卒業後、東洋情報システム(現TIS)に入社。20以上のプロジェクトのリーダーを務めた後、セールスレップとして転職。2005年 にITコンサルタントとして独立。その後様々な事業に手を出すが、激しい浮き沈みを体験。本業の傍ら、収入の安定のために企業のPRライターとしてキャリアを積むうちに、マーケティングと広告に関する独自の方法論「G9M」を構築、「売り込まないで差別化する」広告戦略コンサルタントとして、大手IT企業から中小製造業まで、主にBtoB企業の広告戦略策定を支援している。著書に『奇跡の営業所』(きこ書房)、『SEのための「不況に強い」 営業力のつけ方』(技術評論社)などがある。医者の冷たい目に耐えながら、週に2日以上は飲みに行く生活を継続中。