おいしく食べてもらいたい

 残る3品を注文する。まずはレバー。これは豚ではなく鶏のレバーだ。半生で柔らかいというようなレベルではなく、クリーミーなのだ。口の中でとろける。歯でかむのではなく、上あごと舌で挟んで押しつぶしながら味わってほしい。今回はタレでお願いしたが、塩も絶対にうまいはずだ。

クリーミーなレバー
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 最後に「砂肝」と「皮」。砂肝はコリコリとして肉々しい。皮はきれいに脂を落としてあるタイプ。皮の量がうれしい。どちらもやきとり屋の砂肝と皮と言ったら多くの人が思い浮かべるオーソドックスなタイプだと思う。

砂肝と皮はオーソドックスなタイプ
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 以前、東京・魚籃坂下の「大船」を取材した時に、「外国人が日本のやきとりを知りたいのでどこか連れて行けと言ったら、真っ先に連れて行くのが大船だ」と書いたが、きむきむも捨てがたい。僕が学生時代に食べていたやきとりの味がきむきむにはある。まさにオーソドックスなのだ。屋台風な店構えも外国人を連れてきたくなる大きな理由である。悩ましいことになってしまった。

「こだわりとか、こういう努力をしているとか、そういうのはあるんですか?」と尋ねると「まあ、大した努力はしていないけれど、おいしく食べてもらうことだけは心掛けているね」というあっさりとした返事だった。仕込みにも焼き方にもその気持ちは感じる。