焼き方が上手

 焼き物を注文する。まずは、「つくね」。塩かタレかを聞いてくるので、タレでお願いした。ちなみにどちらがいいかと聞くと、福田さんは基本的には塩を薦めるらしい。今回はあえて、このつくねと後に出てくる「レバー」だけタレでお願いした。

 つくねはつなぎの多いタイプだが、ふっくらとしている。練り物が好きな僕にはたまらない食感だ。とろりとした甘目のタレが、このつくねとは相性がいい。焼酎のお湯割りとも合う。

練り物のようなつくね
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「豚カシラ」と「ナンコツ」を追加した。豚カシラは歯応えが良く、よくかむとうまみが広がる。ナンコツは鶏のひざ軟骨で、前回紹介したJAKOのひざ軟骨もうまかったが、勝るとも劣らない。コリコリ感もすばらしい上、肉のうまみも十分だ。大井町は、ひざ軟骨の聖地なのだろうか?

豚カシラとナンコツ
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 プロに向かって、焼き方が上手などというのもおこがましいが、肉のうまみが巧みに引き出されていると感じた。聞けば、福田さんは飲食店業界にはもう45年もいるベテランだと言う。有名な肉料理店で修業を積み、六本木や銀座でイタリアンレストランをやっていたこともあるという。納得だ。

 昼からはずっと仕込みをしている。きむきむは大井町だけでなく、同じ品川区の荏原町にもあるのだが(戸越公園店はなくなった)、仕込みは荏原町店の厨房で一緒にやっている。だいたい昼の1時から、早い日は12時ぐらいから、ずっと仕込みをしているのだという。肉屋からその日に届いた肉を切って、串に刺していく。

 大井町店では、混む時期にはアルバイトを雇うが、冬は福田さんが1人でやっている。「後継者がなかなかいないね、今は。仕込みができるようになる前に辞めちゃう。この店も長くないかもしれないな……」。

 それは、もったいない。いい若い人が来てくれるのを切に願う次第だ。