この記事は「nikkei BPnet」に2015年3月9日に掲載された「「悪い客が来ない」都会のオアシス!」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。
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東京・大井町は庶民的な店が立ち並ぶ、酒飲みには心からうれしい街だ。その中でも東急大井町駅の真ん前にある「きむきむ」は、独特の異彩を放っている。「人間が好きだが、人の好き嫌いははっきりしている」というこわもての店長は、実は人情派だった。

 前回の東京・大井町「JAKO」の取材の後に寄ったのが、この「きむきむ」である。さすがに2軒目だとあまり食べられなかったのと、少々酔っていたので写真があまりにもひどく、そこで3日後にまた訪れた。ところが今度は、天気は良かったのだが風が強すぎて休業。ようやく2月27日に再訪がかなったので、再度の写真撮影を兼ねて、やきとり全品と煮込みを食べさせてもらった。

 店長から話を聞いたのは2月12日、料理の写真と感想は2月27日分という変則とはなったが、僕としては、きむきむを2度堪能できてうれしかった。

安過ぎて心配になる絶品煮込み

 きむきむは、屋台形式のお店である。さすがに冬は寒いのだが、それでもボツボツとお客は来る。だが、「冬は夏場の3分の1だね。特に風が強いと商売にならない」と店長の福田さん(60歳)は言う。

 元々は天津甘栗の店があった場所らしい。福田さんはオーナーと知り合いで、7年前からこの店の面倒を見ているのだそうだ。

 寒いので焼酎のお湯割りを頼むと、発泡スチロール製のカップに注がれて出てきた。手に持って熱くなく、しかもなかなか冷めない。これはありがたいと思った。

 とにかく温かいものが食べたくなり、「バラ煮込み」を注文した。仕込んであるので一瞬で出てくる。値段が300円なので量は期待していなかったのだが、カキ氷のカップいっぱいに入っている。しらたきや厚揚げなども入っているのだが、肉も十分多い。

 昨年、江戸川沿いにある里見公園(千葉県市川市)にお花見をしに行った。最寄りのバス停から公園までの間にお店が立ち並ぶ路地があるのだが、そこで買った牛筋煮込みが絶品で、しかも安かった(これはお薦めだが、すぐに売り切れる)。それでも500円だったと記憶している。それよりさらに安いなんて……。

 僕は心配になり聞いてみた。「これ、もうけはないでしょう?」。すると、「まあね」との答えが返ってきた。

「これで300円!?」のバラ煮込み
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