この記事は「nikkei BPnet」に2015年3月2日に掲載された「人を連れて行きたくなる笑顔とおもてなし」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。
[画像のクリックで拡大表示]

東京都品川区の大井町駅から徒歩約2分のところにある「JAKO」は、リピーター率80%以上を誇る常連さんに愛されている店だ。その秘密は、笑顔と料理をおいしく出してあげようというおもてなしの気持ちにあった。

 品川から川崎にかけてのJR京浜東北線沿いには独特のイメージがある。あくまで僕個人の感想ではあるが、日本最大の工業地帯、競馬場、高速道路、空港などがもたらすある種荒涼とした感じの風景と、それゆえに感じる人情が絶妙にマッチしているのだ。

 そこでこの近辺を調べていたところ、ふと目に付いたのが今回紹介するJAKO(ジャコ、「JACO」とも書く)だった。「リピーター率80%以上」というキャッチコピーに引かれたのである。

JAKOとは「じゃこ」のこと

 開店は夕方5時。5分過ぎぐらいに店内に入ったところ、僕が最初の客だった。カウンターは全部で6席ほどだが、荷物を置く席も含めて2席分を惜しげもなく使わせてくれる。カウンターの上の冷蔵庫を見ているだけで、これはうまそうだなと確信する。ホッピーはないと言うので生ビールをお願いすると、すぐにお通しと一緒に運ばれてきた。

お通しのじゃこおろし
[画像のクリックで拡大表示]

「“JAKO”って、もしかしたらじゃこのことですか?」と聞くと、「そうよ」と店主の牧江さん(下の名前ではなく名字)が答えてくれる。

 この辺で、ちりめんじゃこと言えば、伊豆あたりを思い出すのだが、そちらの出身ではないそうだ。このじゃこおろしが、実はあとで効いてくる。もし行かれることがあったら、お通しだからと言って、いきなり食べ切らないでほしい。

塩味のやっこ豆腐

 焼き物を注文する前に、「初めてのお客にぜひこれは食べてほしいというものがあったら、教えてください」と頼んだ。すると「塩味の冷ややっこがお薦めだけど」という返事。それは珍しいと注文することにした。

名物「塩味の奴豆腐」
[画像のクリックで拡大表示]

 絹ごし豆腐をさいの目の倍ぐらいの大きさに切り、ネギ塩だれを掛けたものが運ばれてくる。量は少し多め。1丁分というところか? そのまま食べてもおいしいのだが、「皿に取ってタレを掛けて召し上がれ」という。そのタレとは、いわゆる「ラー油」である。ただ、厳密にはラー油ではなく、我流で作った自家製のタレだという。ごま油に唐辛子を漬け込んで、ごまも入れてある。さっぱりした冷ややっこによく合う。

自家製の「ラー油」
[画像のクリックで拡大表示]