この記事は「nikkei BPnet」に2015年1月6日に掲載された「常連が「宝物」と呼ぶ店」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。
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JR中央線の国分寺から西武鉄道国分寺線に乗り換えて1駅目の恋ヶ窪。駅から徒歩3分なのに、もう飲み屋が少ないこのエリアで、目立つ看板なども出さずに営業している「風味鶏」は、まさに地元密着の店だ。仕事の関係で九州から東京に出てきて、今はこの近辺に住む常連さんは、この店を「宝物」と呼んでいる。

 読者からのご紹介の2店目は、西武国分寺線の恋ヶ窪駅からほど近い「風味鶏」。僕の住む千葉・行徳からは電車で約1時間20分とまあまあ遠いのだが、ご紹介のメールを拝見して、是非とも行きたくなった。紹介者の方の並々ならぬ熱意を感じたからだ。

 紹介者は、長野慶助さん(36歳)。全国に展開するIT系企業の東京本社でスタッフ部門に勤務されている方だ。九州出身で、最初は九州支社に配属されたのだが、その後1年ほどの大阪勤務を経て、4年前に東京転勤となったのだそうだ。

「風味鶏」を紹介してくださった長野さん
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 九州男児だからか、お酒が大好き。自宅は風味鶏から徒歩10分ぐらいのところにあるのだが、恋ヶ窪は飲み屋が少なく、東京に来た頃は主に国分寺で飲んでいたのだと言う。出産に伴い奥さんが実家に帰っていた時に、最寄り駅付近で1人で飲みに行けるところを探し回って、ようやく見つけ出したのが風味鶏だった。それが2年前。以来、少なくとも50回は来ているのだと言う。浮気せずに気に入った店に通うタイプなのだそうだ。

「なかなかいい店が見つからなかった」

 僕は酒を飲む年齢になってから、いわゆる郊外の住宅街に住んだことがほとんどない。だから、長野さんの話を聞いて、そのようなところで一人飲みができる店を探すのは大変なのだと初めて知ったのだった。

 郊外の地元密着店の主なターゲットは、家族連れか友人の集まり。4人前後からそれ以上の人数が前提となっている。となると、必然的に一皿の量が多くなる。長野さんは男性にしては(単に僕と比べてか?)小食なほうなので、量の多い店はつらい。恋ヶ窪でも、いくつかおいしいお店は見つかったのだが、どれも量が多くて対象から外したと言う。

 諦めかけていたとき、そういえば1人でも入れる定食屋があったなと行ってみたら、いつのまにか「風味鶏」に変わっていたのだった。中がよく見えるので、のぞいてみたら雰囲気が良さそうだ。入ってみたら接客にも満足したので、以来通っている。他の常連さんにも1人で入れるのでありがたいという人が何人もいるのだそうだ。ただ、空いているときもあるが、カウンターが8席程度、2階もテーブルが4つ程度のこぢんまりとした店なので、入れないときも多い。長野さんは、行くときには必ず予約するのだと言う。

店内がよく見えて1人でも入りやすい
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