この記事は「nikkei BPnet」に2014年10月27日に掲載された「正真正銘の“昭和の頑固オヤジ”の店」を転載したものです。内容は基本的に掲載日時点のものとなります。
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伊勢元は、JR西船橋駅から徒歩約2分。北口ロータリーの向こう側にある路地をちょっと入ったところにある。店構えに引きつけられた一見客が自分の直感の正しさをグルメサイトで誇り、60代以上が中心の常連さんたちがこの店でしか焼き鳥は食べないと言う――そんな店だ。70歳になる“頑固”な店長は、取材お断りと言いつつ、いろいろと語ってくれた。

 前回は、いい感じに思惑が外れたが、今回は正真正銘の昭和のオヤジの店をご紹介したい。

 実は、前々回の船橋「いづみ屋」の取材日に、最初に向かったのは伊勢元だった。その日は祝日(敬老の日)だったせいか残念ながら休みで、改めて隣駅の船橋で見つけたのがいづみ屋だったのだ。これはこれで素晴らしい出会いだったが。

 少し早めに家を出たら、開店30分ぐらい前に着いてしまった。ちょっと張り切りすぎたようだ。のれんは出ていないが、店内に明かりが着いている。5時ちょっと過ぎに店が空いたので、飛び込んだ。

いきなり取材を申し込む

 中に入ると、5人の従業員が迎えてくれた。奥の座敷で店長らしき人が伝票の整理をしている。焼き方は店長と同年輩と思われる男性。その他に奥さんらしき人と、若い男女。

 カウンターに腰掛けて、瓶ビールを頼んだ。「お通しは、『しらすおろし』と『うずらおろし』のどちらがいいですか?」と聞かれた。うずらおろしをお願いする。

個人的に懐かしい、うずらおろしのお通し
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 そういえば、この連載も8回目になるが、過去7回でお通しに大根おろしが出てきた店は1つもなかった。以前、よく通っていたやきとり屋が、大根おろしをお通しに出していたのを思い出し、ふと懐かしくなった。だが、その店がどこだったか思い出せない。1軒ではなかったと思う。

 ビールを運んできてくれた若い女性に店長はどなたかを確認する。やはり奥で伝票整理をしている人だった。「お忙しいところすみませんが……」と、取材を申し込む。

 熱心な読者は、前々回に書いたことを覚えているかもしれない。「この取材許可をもらうタイミングが一番緊張するので、できれば早くしたいのだが、肝心の串物を食べてから口に合わず、やっぱり記事にしませんでしたというのは避けたい」――。

 この方針、実は舌の根も乾かぬうちに前回から、プレッシャーに耐えられなくなって、変更していたのだった。すみません(今後は臨機応変にします)。前回は、開店時刻に行けないことが分かっていたので予約を入れた。その際に取材も申し込んでいたのだ。今回は突撃取材なのだが、店長らしき人を見た瞬間に、これは最初に頼んだほうがいいなと思った。その直感は当たっていたと思う。