運動のマネジメントに続いて、睡眠のマネジメントを2回に分けて解説しよう。今回は夜の睡眠編だ。毎日の睡眠を質の高いものにするために必要な知識を理解して、しっかりと睡眠をマネジメントしてほしい。

睡眠をうまくマネジメントして、スッキリと起床することは健康の維持に欠かせない。マハロ / PIXTA(ピクスタ)
[画像のクリックで拡大表示]

8時間が理想の睡眠時間?

 まずは、理想の睡眠時間を調べていこう。8時間が理想となんとなく覚えている人も多いはずだし、その一方で、レム睡眠(浅い状態の睡眠)にうまく目覚めれば、睡眠時間が短くてもスッキリ起きられるといった情報を聞いたことがある人もいるだろう。レム睡眠とノンレム睡眠のサイクルから、睡眠時間は90分の倍数にするといい、という知識も広まっているかもしれない。

 実は、8時間という数字に根拠はないらしい。必要な睡眠時間は個人差が大きく、一般に年を取るほど短くなる。約3600人を対象にした調査によると、25歳の平均睡眠時間は7時間、45歳は6時間半、65歳は6時間だったという(Sleep. 2004 Nov 1;27(7):1255-73)。中にはたくさん眠らないとダメな人もいるだろうが、誰もが毎日8時間も眠る必要はないのだ。

 結局、何時間がいいのか? 米国で約112万人を6年間追跡した調査によると、最も死亡率が低かった睡眠時間は6.5~7.4時間。そこから外れていくほど、死亡率は高くなっていた。短いのはもちろん、長すぎる睡眠も体に良くないという結果になったのだ(Arch Gen Psychiatry. 2002 Feb;59(2):131-6)。

 どうやら6時間から8時間程度が理想の睡眠時間と考えてよさそうだ。ちなみに、5万6953人の女性を対象にした研究によると、睡眠時間が5時間以下の人たちは8時間前後の人たちに比べて肺炎の発症率が1.39倍高くなる(Sleep. 2012 Jan 1;35(1):97-101)。また、睡眠時間が6時間以下の人は肥満、糖尿病、心臓病の有病率が高かった(Sleep. 2013 Oct 1;36(10):1421-7)。とにかく寝不足は健康に悪影響をおよぼすことは確実なので注意したい。

 睡眠不足はダイエットにも良くないというデータもある。米国で1024人を対象に睡眠時間とBMI(体格指数)の関係を調べた研究を紹介しよう。

 最もBMIが低かった(肥満度が低かった)のは7~8時間眠っているグループで、睡眠時間が短くなるほどBMIは高くなった。同じ研究から、睡眠不足になると食欲をうながすグレリンというホルモンが増え、食欲を抑えるレプチンの分泌が減ることも分かった(PLoS Med. 2004 Dec;1(3):e62)。そのため空腹感が強くなり、太りやすくなる。ご存じの通り、肥満は糖尿病や高血圧など、生活習慣病のリスクを大幅に高める。

 これらの研究を見ても、やはり1日6時間以上は眠ったほうが良さそうだ。

寝不足は健康を損ない、ダイエットにも悪影響を与える。最低でも6時間は寝るようにしたい。Ushico / PIXTA(ピクスタ)
[画像のクリックで拡大表示]