仕事に忙しい毎日の中、“健康”なんて意識していないビジネスパーソンも多いかもしれない。だが、一度でも健康を害したことがある方なら、その大切さを実感しているはずだし、そうでない方でも、年々増してくるお腹回りや、「経過観察」の項目が増えていく健康診断の結果を見れば不安を覚えるだろう。

 この連載では、ビジネスパーソンが健康で働き続けるための情報を提供していきたい。自身を健康(=Health;ヘルス)な状態でいられるように自身で管理(=Management;マネジメント)する方法を解説する。これが連載名の「ヘルスマネジメント」の由来だ。

 管理すべきは生活習慣病と深い関連がある「食事」「運動」「睡眠」の3つ。<食生活編>に続き、この連載では「運動」と「睡眠」のマネジメント方法を解説しよう。

運動はがんの予防と寿命を延ばす効果が期待できる

 まずは「運動」から見ていこう。<食生活編>でも触れたように、多くの生活習慣病は肥満から引き起こされる。「平成27年国民健康・栄養調査」によると、男性は30代の30.3%、40代の36.5%、50代の33.2%が肥満とされる。食べ過ぎとともに、肥満の大きな原因になるのは運動不足だ。

 運動は肥満や生活習慣病の予防に有効なだけではない。最近はがんの予防効果も報告されている。米国で約144万人を11年間追跡した研究によると、ウオーキングなどの運動を週5日以上行う人は、がんの発症リスクが約20%低下することが分かった。運動によって発症リスクが低下するのは、食道がん、肝がん、肺がん、腎臓がん、大腸がんなど13種類。例えば食道がんは42%も低くなるという(JAMA Intern Med. 2016 Jun 1;176(6):816-25)。

 運動の習慣がある人は、死亡率そのものが低いというデータもある。台湾の国家衛生研究院が41万6175人を8年間追跡した調査では、「毎日15分運動する人」の死亡率は「まったく運動しない人」より14%低く、平均寿命が約3年長い。1日90分までは、運動時間が長くなるほど死亡率が下がっていくことも分かった(Lancet. 2011 Oct 1;378(9798):1244-53)。

 ところが働き盛りの世代は仕事が忙しいせいか、運動を習慣にしている人が少ない。「平成27年国民健康・栄養調査」によると、男性全体では37.8%に運動習慣(1日30分以上、週2日以上の運動を1年以上継続)があるが、30代は18.9%、40代は21.3%にとどまっていた(ちなみに最も運動しないのは20代女性で10%を切っていた)。

運動する時間は、なかなか作るのが難しいが、適度な運動は健康維持に欠かせない。foly / PIXTA(ピクスタ)
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40代男性の半分は6時間眠れない

 運動とともに「良い睡眠」も健康維持には欠かせない。

 睡眠不足になると頭がうまく回らず、ミスを起こしやすくなるのは誰もが体験していることだろう。加えて、「睡眠不足は体を壊す」ことも多くの疫学調査から確認されている。45歳以上の5万4269人を調査したところ、睡眠時間が6時間以下の人は肥満、糖尿病、心臓病の有病率が高かった(Sleep. 2013 Oct 1;36(10):1421-7)。

 睡眠不足になると糖や脂質の代謝が悪くなり、太りやすくなったり、血糖値が高くなる。交感神経の緊張が続くことで血圧も上がるし、テストステロン(主要な男性ホルモン)の分泌が減るという報告もある(Clin Endocrinol(Oxf).2012 Nov;77(5):749-54)。

 4419人の日本人男性を対象にした自治医科大学の研究から、睡眠時間が6時間以下の人は7~7.9時間の人に比べて8年後の死亡率が2.4倍高いことも確認されている(J Epidemiol.2004 Jul;14(4):124-8)。睡眠不足は老化を進め、寿命を縮める危険性が高いようだ。

 ところが現代人は寝ていない。「平成27年国民健康・栄養調査」によると、平均睡眠時間が6時間未満の人は39.5%もいた。特に30代男性は45.7%、40代男性は49.0%と、なんと2人に1人という割合なのだから驚く。

30代、40代のビジネスパーソンは睡眠時間が少ない。寝過ぎは良くないが、しっかりと睡眠をとることは大切だ。マハロ / PIXTA(ピクスタ)
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