VAIOは2014年7月、ソニーのパソコン事業部門から独立し、法人向けビジネスに特化する形で再スタートを切った。新生VAIOはソニー時代からの熱心なVAIOファンとの関係を維持しつつ、どのようにビジネスを再構築してきしたのか。現在注力しているBtoBの法人需要開拓でどのようことを心がけているのか――。マルケト社長の福田康隆氏がVAIO執行役員の花里隆志氏に聞いた。

「快」をお客様に届ける基本価値に

福田:2014年にVAIOを独立した新会社として設立してから、BtoBの法人ビジネスを事業の柱に転換されました。ソニー時代と比べてどのような違いがありますか。

花里:ソニー時代もVAIOになってからも、基本的なコンセプトは一貫しています。「ユーザーが使っていて満足感があるか」というものです。個人の方でも、私たちが現在力を入れている法人顧客の社員の方でも、お客様にはできるだけVAIOの良さや心地良さを伝えたいという思いはソニー時代から変わりません。

VAIO執行役員
花里 隆志(はなざと・たかし)氏
1992年ソニー入社。国内営業本部でVAIOビジネスの立ち上げに参画した後、VAIO事業本部B2B事業室長、戦略部統括部長を歴任。2014年7月、VAIO株式会社設立と同時に執行役員に就任。ECサイトおよび技術営業部の立ち上げ、EMS事業の確立など一貫して営業活動を推進してきた。(写真:清水盟貴)

 VAIOを立ち上げた後、商品開発をはじめ、顧客に提供したい基本的な価値を「快」というコンセプトとして定めました。お客様に「心地よさ」を届け、エンドユーザーにも、法人利用パソコンの選定を担当するIT部門にも、価値を実感してほしいというのが私たちの思いです。一般の消費者には商品の良さを分かってもらえるという自信がありますが、IT部門の選定者は自社に導入する上で様々な責任を担っています。VAIOが提供する製品とアフターサービスで心地よくなってもらうことは、VAIOの行動指針になると考えました。

 個人から法人にビジネスがシフトしても、消費者ビジネスで培ってきたDNAは生きてくるはずです。ですから、その根底の部分は変えず、その上でステークホルダーであるITの選定者にも、心地良いサービスを提供していこうと考えました。中間に選定者が入る分、法人向けビジネスは消費者向けビジネスと比べると複雑になるところが違うだけです。

福田:独立後、社員の方々の意識に変化は見られますか。

花里:ソニー時代には1000人以上の事業本部でしたが、VAIOは240人で創業しました。やることは変わりませんが、人数が大幅に減った分、社員全員が効率的に働かないといけません。お客様からの問い合わせを総務や人事などの管理部門が受けることもありますし、社内連携という意味では、全社員が顧客フロントにいるという意識で取り組んでいます。

 このように私たちには会社を設立した時から、身をもって働き方改革を実践してきたノウハウがあります。直接的な購買には結び付かなくても、このノウハウを法人のお客様にもお伝えし、自分の会社を良くしていく心地よさを感じてもらうことを狙っています。

 広告などで商品の良さを伝える際にも、製品スペックだけでなく、「何が心地良いか」や、逆に「どんなシーンで心地良くないと感じているか」など、ユーザーが自分の立場で考えられるような内容にしています。営業が対面でコミュニケーションを取っている分、いろいろな顧客接点を通じて心地良さを伝えるようにしています。