あるアパレル大手の元首脳はこう予言した。

 「地方の百貨店はこの先、いよいよ大量閉店時代を迎える」

 今年9月、百貨店業界最大手の三越伊勢丹ホールディングス(HD)が、2つの地方店舗を閉鎖すると発表した。三越千葉店と三越多摩センター店だ。ともに2017年3月に営業を終了する。三越千葉店では、営業終了後も現店舗の近くに新しく小型サロンを開設し、需要の高い外商やギフト、学生服などの営業は続けるという。

 同9月末にはさらに、セブン&アイ・ホールディングス傘下のそごう西武も、千葉のそごう柏店を閉店。営業最終日には、閉店を惜しむ地元客らの様子が報じられた。

 この秋、2つのニュースが続いたことで、百貨店業界が置かれている厳しい状況が改めて注目を集めた。冒頭の予言は、その頃、あるアパレル大手の元首脳が語ったものだった。

 このアパレル大手元首脳によると、最大手の三越伊勢丹HDが店舗の閉鎖を発表したことで、「あの三越伊勢丹でさえ店を閉めざるを得ない状況なのだ」という“空気”が業界内に醸成されたという。「ほかの百貨店も地方店の閉鎖を発表しやすい環境になった。これまでは各社とも、誰が最初に口火を切るかという我慢比べをしてきたのだから」。そんな感想とともに、アパレル大手の元首脳は、現在、各社で閉店を検討している地方店の名前をつらつらと挙げていった。驚くほど、たくさんの店舗が挙がった。

 彼の言葉を裏付けるように、10月にはセブン&アイが中期経営計画を発表するなかで、そごう西武の持つ関西の百貨店3店舗(そごう神戸店とそごう西神店、西武高槻店)を、阪急百貨店などを展開するエイチ・ツー・オーリテイリングに譲渡することが発表された。決断の背景について、セブン&アイの井阪隆一社長は「首都圏に経営資源を集中するため」と説明したが、同時に「百貨店市場の縮小は不可避」と分析。ここでも百貨店業界が置かれている窮状が語られることになった。

 ピーク時には9兆円の売上高があった百貨店業界の市場規模は、今ではその3分の2である6兆円まで縮小している。ある大手百貨店首脳は、「数年後には5兆円まで縮小するはずだ」と、さらに厳しい環境が百貨店業界を待ち受けていることを示唆する。今後も地方店を中心に、店舗閉鎖が相次ぐことは避けられないだろう。

 ここで気になるのは、百貨店が退店した跡地に何ができるのかということだ。百貨店業界やアパレル業界などを取材する中で、この春以降、私はさまざまなキーマンからある施設の名前を異口同音に聞くようになっていた。それが今年5月、大阪府枚方市の枚方市駅前に開業した「枚方T-SITE」だ。

夜の枚方T-SITE。駅を降りると、スタイリッシュな外観が目に入る(撮影:竹井 俊晴)