「セールは、そもそもの価格設定が誤っていることの証左」

 衣服の世界のみならず、靴の世界にもオンラインブランドが登場し始めている。代表格が「GREATS(グレイツ)」だ。

 創業者のライアン・バベンジエンCEOは、2013年にグレイツを創業。それまでプーマなどのメーカーでエンターテインメントマーケティングや、グローバルディレクターを務めてきた。YouTubeやTwitterなどを使ってメガブランドをマーケティングする中で、もっとダイレクトにコンシューマーにブランドメッセージを伝えたり、コンシューマーとコミュニケーションしたりできるのではないかと感じたという。

 商品開発期間にも疑問を抱いていたという。「開発に着手してから1年ほどかけてようやく市場に出る商品がほとんど。ファッションショーに合わせたり、店舗に分配したり、あらゆる慣習が商売の“障壁”になっている。これが、時間も生産量も膨らませている要因だ」(バベンジエンCEO)。

グレイツのライアン・バベンジエンCEO(撮影:Mayumi Nashida)

 グレイツでは、イタリアと中国の工場をメインに、素材は世界各国から仕入れる。価格は、他社の同等品質の商品と比べ、半分以下だという。商品リリースは2週間に1度程度で、商品によっては数分で完売するものもある。グレイツも小ロット生産、売り切り型だ。バベンジエンCEOは「旧来の形でのセールはしない。第一、セールがあるということは、そもそもの価格設定が誤っていることの証左だ」と従来の商習慣を切り捨てる。

グレイツが展開するシューズ。ウィメンズも手がけ始めた(撮影:Mayumi Nashida)
オリジナル製品を2週間に1度リリースする。ソールもオリジナルだ(撮影:Mayumi Nashida)

 バベンジエンCEOは、米国で起きているオンライン発のブランドを「ブランドの民主化」だと表現する。「お金を持っている人しか買えないという“ブランド”の定義が崩れ始めている。コストの多くが、流通コストや“ブランド料”といったようなものに割かれていたと分かった今、よりフェアな商品展開が可能になり、ファッションの民主化が起きた」。