フォルクスワーゲン グループ ジャパンが6月に発売した「up! GTI」(上)と7月3日に発売した「ポロ GTI」(下)

 いつもおとなしいメガネ男子が、バスケットボールで鮮やかなシュートを決めた。あるいは、ふだんはおてんばな女の子が、実は茶道師範だった――。下手な少女漫画のような例えで恐縮だが、こういう意外性の魅力、いま風にいえば「ギャップ萌え」のクルマ業界での元祖は、日本でいえば「羊の皮をかぶった狼」こと日産自動車の「スカイラインGT」だろうが、海外のモデルの代表格ということになると、独フォルクスワーゲン(VW)の「ゴルフGTI」を挙げても文句は出ないだろう。

 ファミリー向けのコンパクトな5ドアハッチバックのボディに直列4気筒・1.6Lエンジンの高出力版を搭載して1977年に登場した初代ゴルフGTIは、いわゆる「ホットハッチ」の元祖とされ、5人の人間と荷物を載せる十分なスペースを確保しながらも、スポーツカー顔負けの動力性能を発揮し、高性能を大衆化した存在として知られる。

 その系譜は現在の7代目ゴルフにも受け継がれているが、今回フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VWJ)はその弟分として、2車種の「GTI」をラインアップに加えた。それが「ポロGTI」と「up! GTI」だ。VWJによれば、国内でGTIの3車種が揃うのは、「ルポ」にGTIが設定されていた2005年以来13年ぶりのことだという。

 筆者は小さいクルマが好きなので、両車種のうちでもまず注目したのはup! GTIのほうだ。現在でこそVWのラインアップの中で最もコンパクトな車種だが、実は初代ゴルフGTIとup! GTIを比べてみると、全長こそup! GTIが3625mmと、初代ゴルフGTIの3705mmに比べて80mmほど短いものの、全幅はup! GTIが1650mmで初代ゴルフGTIに対して20mm幅広く、全高は1485mmと95mm高い。

 ホイールベースは初代ゴルフGTIの2400mmに対してup! GTIは2420mmとむしろ長く、室内スペースも初代ゴルフに遜色ない。試乗会の会場には初代ゴルフGTIも置いてあったのだが、当時のモデルがいかにコンパクトだったかというのを今さらながら思い知ることになった。つまりup! GTIに対する筆者の印象としては、VWのもっともコンパクトな車種にGTIが設定されたということ以上に、初代ゴルフGTIの再来というイメージが強い。価格が219万9000円と、高性能モデルとしては手が届きやすいのも魅力の一つだ。

初代「ゴルフ GTI」と並んだ「up! GTI」。初代ゴルフのコンパクトさが分かる(写真:VWJ)