次に取り掛かったのは、大手キャリアに電話してMNPの手続きをすることだ。電話に出た担当者は、記者がワイモバイルにMNPすることを告げると、「何かご不満がありましたか」と質問。記者が「不満はありませんが、ワイモバイルの方が月々の料金が安かったので」と返答すると、「1台2万円のクーポンを発行しますので、考え直していただけませんか」と思わぬ手厚いオファーで返してきた。これは「引き止めクーポン」「引き止めポイント」などと呼ばれるもので、キャリアや契約者ごとに金額が異なる。もらえない場合もある。

 あまりの金額に一瞬心が揺らいだが、それでも格安スマホの方が安いので丁重にお断りした。2年の契約期間を満たしていないので、MNPをするスマホ2台分と今回解約するタブレット1台分で約3万円の途中解約金がかかるとも言われた。だが、通信料の安さですぐに取り戻せる計算だったので、手続きを進めた。

 ちなみにスマホ2台はMNPすれば自動解約になるが、解約するだけのタブレットは店頭でないと解約できないという。電話の最後に「4年間のご契約、ありがとうございました」と丁寧なあいさつを受けた。

内容不明のコンテンツが大盛り

 27日日曜。大手キャリアの店頭でタブレットを解約したのち、携帯販売店にワイモバイルの契約にでかけた。契約説明の中で、初めて知る事実に数多く遭遇し驚いた。家族割引の月540円は1台目に適用されないこと、月1080円割り引かれる「ワンキュッパ割」は1年しか適用されないこと、1カ月に使える通信量が2倍になるオプションは25カ月後から540円かかること。さらに2台以上同時に契約した場合に5000円還元されるキャンペーンは「1台1万5000円という価格に織り込み済み」と言われたことなどだ。そして、有料コンテンツの内容が開示され、「NHK324円」「TSUTAYA540円」「FODプレミアム959円」など文字だけでは内容が推察できないものばかりであることも驚いた。

 3時間もかかって無事契約を終えて帰宅し、結局どのぐらい月額費用が変わるのか計算してみた。データ容量はもともとの契約とほぼ同じにしている。向こう24カ月を1カ月にならすと、1台目は見た目上(見積書の上では)3542円になった。これに端末代やコンテンツ代を加えると実質月額5000円。これまでの料金は月額約8000円だったので3000円の節約になる。2台目は同じく月額約8000円だったものが、見た目上842円、実質的に月2300円になり、5700円安くなった。

 2台を合算すると月額1万6000円(8000円+8000円)が月額7300円となり、8700円の節約。もともとの半額以下になった。今回、「シェアプラン」という仕組みを使い、タブレット用のSIMカードが無料で1枚もらえた。そのデータ容量をスマホと分け合って使えるようにした。以前は月3500円ほどかかっていたが、スマホと分け合うので月額料金はかからない。これも入れると約1万2000円(8700円+3500円)の節約になる。

示された月額料金は月842円だが、コンテンツ代などが加わり月2300円になる

 iPhone2台を新品にして、さらに2年で約29万円ほどの節約になる。途中解約金(3万円)やMNP手数料、新規契約手数料など合計約4万4000円を払っても十分おつりがくる。「なかなか有意義な週末だった」と意気揚々と携帯販売店を出た。

 だが、帰り道で少し冷静になると、複雑な気持ちになった。ワイモバイルは運営がソフトバンクなので、使っている電波や基地局はほぼ共通している。ヤフーと連携したサービスなども大差はない。ここ数日使っているが、特に電波状況などで困ることもない。とすると、この大きな料金差はいったい何なのだろうか。大手キャリアの料金がそもそも高すぎるのではないか、それが各キャリアの絶好調な業績を支えているのではという問題意識を持った。

(文/松浦 龍夫=日経ビジネス)