アイライナー:それからもう1点、スマートフォンは電話回線やWi-Fiなどがなければ動きません。ですから、地下駐車場で圏外になると使えないといった制約があります。MBUXはシステムにあらかじめ音声認識のソフトウエアやデータを組みこんでおり、またナビゲーションはGPSを活用するなどして、通信環境がなくても動作するようにしてあります。

 これまでの音声入力からもっとも進化したのはどこなのでしょうか?

アイライナー:従来の音声入力システムでは、ユーザーがコマンドを覚える必要がありました。定型のものでしか動かなかった。それがAIによる自然言語の認識システムの導入によって逆になった。システムが人の話すことを学習するようになってきたわけです。

 なるほど。今回は英語版での試乗でしたが、日本語版も開発しているのでしょうか。日本語ってとても難しいような気がしますが。

アイライナー:いま23カ国語の開発を行っています。もちろん日本語のローカライゼーションもやっています。音声認識に関してはアメリカのトップ企業であるニュアンスと協力して開発を進めています。実はわれわれメルセデスもニュアンスも日本に開発拠点がありますから、チームを組んで一緒になってローカライズの開発をおこなっています。

 アイライナーさんがイチオシの、MBUXでもっとも使ってほしい機能は?

アイライナー:それはなんと言ってもまず「ヘイ、メルセデス!」。キーワードを投げかけて欲しいですね。何にも触れず、ただ話しかけるだけで立ち上がるいろんな機能をぜひ体感してほしい。あとはコマンドを学ばなくても、話しかけることで使える自然言語による使いやすさ。そしてレスポンスのよさ。待ち時間がなくスマートフォンのようなサクサク感があります。日本への導入はもう少し時間がかかりそうですが、楽しみにしていてください。

「メルセデス」じゃなくて「めるしーでぃす」?

 試乗会に用意されていたのは英語仕様だったが、正直に言えば私のつたない英語では「メルセデス」のネイティブな発音がなかなかうまくいかず(「セ」というよりは「シ」に近い)、起動するのにもひと苦労だった(音声だけでなくステアリングのスイッチでも起動は可能)。

 インタビュー内に現在日本語対応に向けて開発中とあったが、おそらくそれに時間がかかるため年内の国内導入が可能かどうかは未定という。メルセデス・ベンツ日本ではいま限定車などをオンライン販売する試みをしているが(こちら)、個人的には英語を学びたい人向けに限定販売で英語仕様を入れても面白いと思った。

 メルセデスの開発者は、「もう車内でスマホを探す必要はない。クルマは走るスマートフォンになる」と話していたが、MBUXはクルマとの新たなコミュニケーションを生み出すものになるかもしれない。

(文/藤野 太一=フリーランスエディター/ライター)