アパレル業界がかつてない不振にあえいでいる。大手アパレル4社の売上高は激減。店舗の閉鎖やブランドの撤退も相次いでいる。アパレル業界と歩みをともにしてきた百貨店業界も、店舗閉鎖が続き、「洋服が売れない」事態は深刻さを増している。なぜ突如、業界は不振に見舞われたのか。「日経ビジネス」の記者が、アパレル産業を構成するサプライチェーンのすべてをくまなく取材した書籍『誰がアパレルを殺すのか』が今年5月、発売された。業界を代表するアパレル企業や百貨店の経営者から、アパレル各社の不良在庫を買い取る在庫処分業者、売り場に立つ販売員など、幅広い関係者への取材を通して、不振の原因を探った。

 不要になった商品を個人間で売買できる二次流通サービスで国内最大手のメルカリ。2017年4月末時点で、アプリの国内におけるダウンロード数は約4000万、米国でのダウンロード数は約2500万を突破している。国内における月間の流通額は100億円を超えた。5月にはネット通販の「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイが同社のフリマサービス「ZOZOフリマ(ゾゾフリマ)」のサービス終了を発表するなど、メルカリの「一社総取り」状態が鮮明になってきている。

 メルカリのジャンル別販売点数は、婦人服・雑貨が26%、紳士服・雑貨が8%、ベビー・キッズが13%。それぞれ雑貨を差し引けば、おおよそ4割近くがアパレル(衣料品)だという。

 一方、売上高の3割前後をアパレルが占める百貨店の売上高は、2017年3月まで13カ月連続で前年実績に比べ減少。4月には14カ月ぶりに全体でプラスに転じたものの、アパレルの売上高は対前年同月比1.2%減と18カ月連続減少しており、下降に歯止めがかかっていない。

 メルカリは、「新品を店舗で購入する」という今までの業界の慣習を壊し、アパレル企業にとって一段と脅威になるのか。それとも、家の中で眠る「在庫」を動かし、アパレル市場全体を活性化する存在になり得るのか。2017年4月に、創業者の山田進太郎氏から社長のバトンを引き継いだ小泉文明氏に話を聞いた。

2017年4月に社長に就いた小泉文明氏(撮影:北山 宏一、以下同じ)

アパレル業界が軒並み業績低迷にあえぐ中、「若者が服を買わなくなった」「中間層が服に興味がない」といった見方があります。どう思いますか。

小泉文明氏(以下、小泉):メルカリでの消費動向を見ている限り、そうした実感はないですね。アパレル商品の検索数も増えていますし、出品も多い。アパレルに接する方法が変わっただけで、むしろファッションに対する興味や感心は、増しているようにも感じます。

 閲覧動向を見ていても、ネット通販のサービスとして利用しているユーザーがいる一方で、「メディア」として使っている利用者も多い。何かを買うためだけでなくて、お気に入りのブランドの洋服を眺めるために訪問しているのです。

 こうした人は、1日に5回、6回と訪れ、滞在時間は数分程度。その過程で気に入ったものがあれば買う、という感じのようです。