先日、ある英会話教室の方から興味深い相談を受けました。それは、最近、いわゆるインターナショナル・プリスクールに子供を通わせていた保護者の方から、「リーディング」を伸ばすことはできるか、という問い合わせが増えているが何か良い方法はないかという内容でした。

 インターナショナル・プリスクールというのは、ごく大雑把にいうと、その名の通り、英語で教育を行う保育園・幼稚園のことで、三つのタイプがあります。一つ目はオールイングリッシュ、つまりすべての教育を英語で行うところ、二つ目はバイリンガル教育、つまり英語と日本語とで教えるところ、三つ目は日本語から英語へと徐々に言葉を切り替えていくところです。

 上の英会話教室に駆け込む方は、これらすべてのプリスクールのお子さんが含まれるということですが、なぜ今のタイミングで「リーディング」を何とかできないかという問い合わせが増えているのでしょうか。

英会話とリーディングの差異

 それは、(私が推察するに)英検の合格基準が変わったことと関連しているように思われます。これまで英検は、総合点で合否を判定していました。これであると、プリスクールに通っている子供は圧倒的に有利です。なぜなら、リスニングや英問英答で簡単に満点(あるいはそれに近い点)が取れてしまうからです。そのため、基準の改変前には、英検準2級合格を目標にしているようなプリスクールもありました。ところが、新しい基準では各技能で一定のレベルをクリアーしなければならなくなったため、事情が大きく変わってしまったのです。

 幼い子供たちは音声にとても敏感で吸収力が高いです。ですから、英語漬けに近い環境にいると、聞き取り力や会話力はどんどんと伸びます。ところが、リーディングは、なかなかそうはいきません。文字をしっかりと認識し、その意味を理解する必要があるからです。また、これは、国語について考えれば簡単に分かることですが、意味内容についても、リスニングよりリーディングの方がレベルが高く、その傾向は年齢が上がるにしたがってどんどんと開いていきます。なぜかというと、スピーキングと違い、リーディングの場合には情報が文字として残るからです(視覚は聴覚の10倍程度の情報を処理しますので、「文字として視覚的に残る情報」は深く複雑になります)。

 さて、話を戻しますと、私は上の相談を受けてかなり頭を絞ったわけですが、残念ながら答えは「不可能」でした。

 アメリカやカナダであると、プリスクールを終え小学校に上がっても、日常生活はすべて英語で、学校でも理科や社会などすべての科目が英語で教えられます。ですから、単に日常会話だけでなく教養や、文化、慣習などもすべて英語を通じて身に付いていきます。しかし、日本であるとそうは行きません。プリスクールから小学校に上がったとたんに、「日本語の学習環境」に飛び込むことになります。