佐々木:想定されるユースケースはまだあります。製造業に関わるところでは、サプライチェーンマネジメントで効果が見込まれます。製造業では、原料から製品完成までの全工程の途中途中でコントラクトがあります。そこでの仲介を省きつつ、トレーサビリティを担保しながら管理できるので、現在の管理方法に比べて効率的にできる可能性は高いとみています。

 それから、昨今話題になるシェアリングエコノミーでもブロックチェーンは威力を発揮できるでしょう。例えば、ライドシェアで世界大手の米ウーバーは、ライドシェアビジネスで中央の管理者を担っていますが、ブロックチェーンを用いると中央管理者なしでもライドシェアビジネスを構築可能です。ただし、ウーバーは中央管理者の機能だけでなく地図の独自開発なども進めており、ブロックチェーンによってウーバーが不要になる、ということではありません。

 同じく、ビジネスの現場で耳目を集めているIoT(モノのインターネット)もブロックチェーン適用の有力なユースケースの1つです。IoTでは、データを取得・送受信する電子部品(デバイス)があらゆるところに埋め込まれ、デバイスが取得したデータをやり取りします。多様かつ大量のデバイスで取得したり、取り扱ったりするデータをブロックチェーンを使って取引できるようにしておけば、自律的にデータの利活用を進めることができるでしょう。

 そして、顧客などの本人認証に必要な情報、例えば生体認証情報や公共の証明書などを、改ざん困難な仕組みで管理できるのも、ブロックチェーンの有力なユースケースです。各種契約時の本人確認のための書類提出プロセスを、大幅に簡略化できます。

 こうしたユースケースは国内外で検討され、実証実験が進んでいます。実証実験を通じ、どのくらいのベネフィットがあるのかを各ケースで見定めている状況です。

ビジネス環境が一気に変わる可能性、抜かりない準備が欠かせず

紹介いただいたユースケースの中で、ボストン コンサルティング グループに相談が持ち込まれるケースで目立つものはありますか。

佐々木:サプライチェーンマネジメントについての相談を受ける場合が増えている印象です。自動車のサプライチェーンを例にとると、自動車メーカーには鋼板などの原材料だけでなく、協力企業から各種部品が納入され、自動車メーカーだけでなく協力企業でも在庫管理しています。現在、在庫管理や取引を紙ベースで進めているところは多々あります。ここにブロックチェーンを用い、管理を効率化しようというものです。

 ブロックチェーンを使うことで、管理に要するコストを大きく削減できる可能性はかなり高いと考えています。しかしながら、ブロックチェーンの採用に踏み切っていいかといえば、簡単にゴーサインを出せません。現状の在庫管理や取引の工程で、事業を成り立てている企業があるからです。こうした企業は現状のサプライチェーンで必要なピースであり、効率化のために締め出してもいいのかという、効率化追求とは異なるビジネス上の判断が生じます。