回転ずしチェーン「スシロー」を展開するスシローグローバルホールディングスが3月末、8年ぶりに再上場した。どのように成長してきたのか。そして今後の展開は。2012年に同社の筆頭株主となり、経営改革を進めてきた英投資ファンド、ペルミラ・アドバイザーズの藤井良太郎社長に聞いた。(日経ビジネス4月17日号の企業研究「スシローグローバルホールディングス 雌伏10年、悲願の上場」もあわせてご覧ください)

ペルミラ・アドバイザーズの藤井良太郎社長。出資先のスシローグローバルホールディングスで社外取締役も務める(写真:北山 宏一)

スシローグローバルホールディングスは2009年、投資ファンドのユニゾン・キャピタル傘下に入り上場廃止。ユニゾン、その後はペルミラ・アドバイザーズとファンド2社のもとで経営改革を進め、3月30日に8年ぶりに再上場しました。再上場にこぎ着けたことをどう受け止めていますか。

藤井:ようやくここまで来たのだと、感慨深いものがあります。再上場日は私も東京証券取引所でのセレモニーに参加しましたが、一緒に出席したスシロー前社長の豊崎賢一取締役が「(牛丼チェーン)ゼンショーの小川賢太郎社長から『スシローの株を買った』という電話がかかってきたのがちょうど10年前だった」と話していたのが印象的でした。

満を持して再上場

2007年、ゼンショーがスシローの創業家の一部から株式を買い取り、27%を持つ筆頭株主になった出来事ですね。スシローはゼンショーの支配から逃れようとユニゾンの出資を受け、上場廃止となりました。その後8年、スシローの社内では再上場したいという思いがあったのですか。

藤井:当社が出資し、経営に参画した当時から、社員の間では再上場したいという思いは強くありました。社員の希望を何とか実現したいと考え、改革に取り組んできました。

 前回の上場先は東証2部で、上場廃止前の株式時価総額は約200億円でした。今回は東証1部になり、会社も相当大きくなって、満を持しての再上場です。

 売り出した株式の8割を、普段スシローを利用している消費者など国内投資家に持ってもらいました。国内、そして海外の投資家からも株を買いたいという声がありました。投資家の意向にある程度沿う形で上場できて良かったと思います。

近代的な経営を組み合わせる

ペルミラは2012年に投資後、どのような改革を進めてきましたか。

藤井:我々が投資してから(政権交代によるアベノミクスへの期待などで)急に円安が進みました。鮮魚を海外から調達することが多い回転ずしには逆風で、最初の1~2年は苦しい時期もありました。

 スシローの良さは、職人気質のスタッフが美味しい寿司を出したいと愚直に取り組んでいることにあります。そこにペルミラが入り、世界の飲食業を経営するグループの知見を生かしながら、我々が近代的と考える施策を導入しました。

 消費者調査や価格調査を実施してフィードバック。それらをもとにITシステムやアプリを作ったほか、メニューの価格も従来の1皿100円に加え、180円、280円など幅を広げました。

 出店の仕方も変えました。従来は店舗開発の担当者の勘に頼っている部分が大きかったのですが、「ビジョンマップ」という地図を導入し、効果的な出店場所を探すようにしました。店舗開発に当たっては、他の大手外食チェーンの人材も採用するなど体制を強化。それまで年15~20店だったのが、年35~40店を出せるようになりました。

 スシローは現在、国内で約460店を展開していますが、800店まではカニバリ(自店同士の食い合い)を起こさずに増やせるとみています。

店舗ではどのような手を打ちましたか。

藤井:コストの見直しを進めました。メニューごとに売れ行きの予測精度を高め、廃棄率を下げていきました。

 5~10年前に比べ、現在は食材の品質が上がっています。鮮魚やワサビ、海苔、しょうゆもそうですし、コメもスシロー向けの特別な品種を使っています。ウニはチリ、マグロはマルタまで、調達担当の役員が良い食材を求めて世界中を飛び回っています。

 ハマチの皮を店内で引くなど、店内調理を強化して鮮度を高めました。

仕事を一緒にする中で、スシローの社員にどのような印象を持ちましたか。

藤井:全く新しい取り組みをすることには慣れていませんが、既存の仕組みを少し見直すことは得意という印象です。

 例えば都心で、テーブルですしを提供する「ツマミグイ」や「七海の幸 鮨陽」という業態の店舗を展開しましたが、1年足らずで閉店しました。そこで昨年9月、東京・池袋に1皿120円で提供する回転ずし店を出しました。家賃など都心のコストを考え、定番の1皿100円より引き上げた価格設定です。

 国内での運営経験を経て、韓国では日本と全く同じ形で店舗を展開しています。日本の部長級の人材を現地の役員クラスとして派遣し、現場の改善を進めて成果を出しています。