「『S90』はオンラインでの予約販売限定となります」

 2月22日、スウェーデンの自動車大手ボルボ・カーの日本法人は高級セダン「S90」や高級ワゴン「V90」など3車種を同時に国内発売した。発表会見での木村隆之社長の何気ない一言に、同社の戦略が隠されていた。

ボルボが22日に発売した「S90」。木村隆之社長は「3車種で2500台を売る」と意気込む

 同社の90シリーズは、新プラットフォーム「SPA」を初採用した高級ライン。第一弾のSUV(多目的スポーツ車)「XC90」は2016年に国内発売し、予想の倍に当たる1000台が売れた。より顧客層の広いセダン「S90」とワゴン「V90」「V90クロスカントリー」の3車種を同時発売し、ボルボは国内で前年1500台増となる1万6000台の販売を狙う。

 ボルボの強みは安全へのこだわりだ。本社のあるスウェーデン・イエテボリに自前の事故調査隊を常駐させ、半径100km以内で事故があれば地元警察と連携して事故の原因分析に当たる。どの角度からでも衝突実験できる本社横の「セーフティセンター」は、ボルボの象徴ともいうべき場所だ。

 安全へのこだわりは新発売した90シリーズにも現れている。ボルボの事故調査隊によれば、スウェーデンにおける重傷者発生事故の要因のトップは、路肩などに転落する「道路逸脱事故」だった。

 90シリーズでは、世界で初めて逸脱回避機能を搭載した。車載カメラと赤外線レーダーが車線や縁石などを認識して、逸脱が差し迫っている場合には自動でステアリングとブレーキを操作する。

世界初となる逸脱防止機能をS90などに搭載した

 ボルボは近年、自動運転で米ウーバーテクノロジーズといち早く提携するなど独自路線を走ってきた。欧州では2014年にウェブでの限定予約を開始。S90をウェブ限定発売するのも、この独自路線に沿ったものだ。

 同社の木村社長が日経ビジネスの取材に応じ、クルマのデジタル販売について狙いを語った。意外にも、その狙いは「中国生産」を見据えたものだった。