「自分はまだまだ甘い」。新刊『トヨタ物語』のゲラを読んだファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏はそうつぶやいた。『トヨタ物語』著者の野地秩嘉氏がその真意を聞く。柳井氏が考える「強さの本質」「ユニクロが目指す、その先」とは。その後編。

■重版出来!『トヨタ物語
 トヨタはなぜ強いのか――その本質に迫る巨編ノンフィクション。日経ビジネス連載「トヨタ生産方式を作った男たち」に書下ろしの新章などを加えた圧巻の408ページ、ついに刊行。早くも3刷。日経BP社刊

前編から読む)

世界に進出して、ユニクロは変わりましたか。

柳井:僕は「グローバルワン 全員経営」と言っています。最初のうちはその地域の事情が分からずに、売れない色の商品を作ったり、大きなサイズばかりを作って、売れ残ってしまったこともありました。しかし、日本から派遣した店長たちがグローバル化とローカライズのバランスをうまく取って経営したために結果を出すことができました。グローバル化だけを押し通してもいけないし、かといって地域の事情だけを勘案してはいけない。うまくかみ合ったからこそ結果が出るんです。

 今、中国、韓国ではユニクロがナンバーワンショップになりました。地元の店よりも、ユニクロの店の方がはるかに多い。これをもっともっと進めていく。

 この本のなかにあったエピソードですが、トヨタのケンタッキー工場の従業員が進んでワシントンまで公聴会を見に行くでしょう。リコール問題で豊田章男社長が窮地に立っているのに我慢できずにワシントンまで行く…。

 アメリカの従業員がここまでやるなんてことは普通、ありえない。

 僕は豊田喜一郎さんという創業者が立派なんだと思いました。

 「人間は仕事をする上では平等だ」という意識を現場に植え付けていたんでしょう。世界で成功するには現場の平等を忘れてはいけない。

 僕らもトヨタと同じように現場の平等を強烈に意識しています。ですから、中国と韓国だけでなく、アメリカでも東南アジアでもヨーロッパでもナンバーワンになれるでしょう。

(写真:竹井俊晴)