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丁野奈都子(以下、丁野): 新海監督の作品のもうひとつの魅力が、美しい映像です。『君の名は。』も、天体や自然描写が素晴らしいのですが、なかでも心癒やされるのが空。この空は、監督が過去に見た風景なのでしょうか? 

新海誠監督(以下、新海監督): 子ども時代から、空を眺めるのがすごく好きだったということはありますね。眺めながら、いろいろなことを想像しましたし…。

丁野: どんなことを想像していたのですか。

新海監督: …あの雲の形って、宇宙船みたいでカッコいい!とかね(笑)。

 出身は長野県小海町で、空がきれいな場所でした。野辺山が近く、標高が高くて風が強い高原で。今でもたまに帰省すると、本当に特別な空だなって思います。特に日が傾いて沈んでいくまでの時間帯が好きで、雲が刻々と色や形を変えていくのをずっと眺めていましたね。高校時代は水彩で空の絵を描いたり。今でも何か、その頃の気持ちを引きずっているのでしょうね。

この作品でも、夜空を彩る美しい彗星が物語に大きく関わっている
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 その後、東京に出てきて3年間ぐらいは、ゴミゴミしているし自分が奇麗と思えない場所に住んでいるのがつらかったですね。でも、ビルも見ようによっては山のように見えたり、東京で育った友達と仲良くなると風景もいとおしく思えてきたり。誰かと歩いたというだけで、その場所が特別な場所になったりもしますよね。そんなふうに、次第に東京の奇麗さを発見してきた感覚もありました。