2016年にドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」から生まれ、大ブームになった“恋ダンス”。その振り付けを担当したMIKIKOさんは、日本を代表する振付家のひとり。まだ広島の小学生だったPerfumeとともにエンターテインメントの世界を駆け上がり、現在では演出も手がけている。

 最新デジタルとダンスを融合させたPerfumeのライブの演出が評価され、16年にはリオ・オリンピック閉会式のフラッグハンドオーバーセレモニーの総合演出も担当。世界中に向けて“TOKYO”をアピールする大役を果たした。世界を舞台に活躍の場を広げるMIKIKOさんが考える表現とは? フリーアナウンサーの丁野奈都子が直撃インタビューする。

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ダンスの振り付けに隠された裏テーマあり!?

丁野奈都子(以下、丁野):  昨年の“恋ダンス”は、社会現象になりました。ご自身にとってはどんなお気持ちなのでしょうか?

MIKIKOさん(以下、MIKIKO): 実は正直に言うとあまり実感がなくて、なんだか人ごとのような感覚です(笑)。皆さんが作ってくれたダンスのような気持ちですね。もちろん、多くの人に楽しんでもらいたいとは思っていましたが、はやらせようと思って作った振り付けじゃなかったので。ましてや“恋ダンス”なんて名前が付くとも思っていませんでした。

丁野: なるほど。“恋ダンス”にしてもPerfumeのダンスにしても、MIKIKOさんの振り付けには、見ている人も一緒に踊りたくなるような魅力があると思います。振り付けはどのように作られるのですか?

MIKIKO: まず、最初に曲を聴いたときの第一印象をノートになるべく細かく書き留め、そのイメージをかみ砕いて振り付けにしていきます。歌詞や音そのものを振り付けに変換したり、音の波形をなぞって振り付けで見せたり、いろいろな手法を使って全体を組み立てていきます。期待通りプラス、予想を裏切るものを盛り込むことを考えながら。歌詞をダイレクトに振りにするだけでは面白くないので、自分なりの“裏テーマ”も設け、そのテーマをどう伝えていくかを考えています。

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丁野: え?裏テーマって何ですか?

MIKIKO: 例えば、Perfumeの「TOKYO GIRL」という曲だと、歌詞に「水槽の中」や「熱帯魚」などの単語が出てきます。水槽の中にいる熱帯魚ってキレイだけど、ちょっと切ない感じ。それって実は、水槽の中で泳ぐ熱帯魚=東京に憧れる女の子たちのことなのかなと捉えました。それこそ、その水槽を外から見ている視点が、夢をかなえる前のPerfumeで、熱帯魚が夢をかなえた後のPerfumeのような。それは私の深読みなのですが、そんな裏テーマをなんとなく動きの表情として反映できたらいいなと思っています。

丁野: 深いですね。“恋ダンス”にも裏テーマはあるのですか?

MIKIKO 演出振付家。1977年、広島県生まれ。ダンスカンパニー「ELEVENPLAY」主宰。Perfume、BABYMETALの振付・ライブ演出をはじめ、様々なMV・CM・舞台などの振付を行う。16年にはリオ・オリンピック閉会式のフラックハンドオーバーセレモニーの総合演出も担当した。テクノロジーやメディアアートを融合させた作品は国内外で評価が高く、ジャンルを超えた様々なクリエーターとのコラボレーションを行っている。
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MIKIKO: 星野さんはご自身で作詞作曲をされている中で、毎回はっきりしたテーマと思いがあるので、それをヒアリングしてから作ります。彼の場合、「ダンサーもミュージシャンの一人として存在すべき」という考えを持ってくださっているので、振り付けもどこの音を拾ったら気持ちいいとか、後で鳴っているドラムの音を振り付けで拾ったりすることが多いですね。