TSUTAYAに始まり、Tポイント、T-SITE、蔦屋家電まで――。従来にない店舗やサービスを次々に生み出してきたカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の増田宗昭社長は何がすごいのか。TREND EXPO TOKYO 2016への登壇を前に、「TSUTAYAの謎」の著者であるifs未来研究所所長・川島蓉子氏に聞いた。

川島 蓉子氏<br>伊藤忠ファッションシステム ifs未来研究所 所長
川島 蓉子氏
伊藤忠ファッションシステム ifs未来研究所 所長
1961年新潟市生まれ。早稲田大学商学部卒業、文化服装学院マーチャンダイジング科修了。伊藤忠ファッションシステム取締役。ifs未来研究所所長。ジャーナリスト。多摩美術大学非常勤講師。日経ビジネスオンラインや読売新聞で連載を持つ。著書に『TSUTAYAの謎』『社長、そのデザインでは売れません!』(日経BP社)、『ビームス戦略』(PHP研究所)、『伊勢丹な人々』(日本経済新聞社)などがある。1年365日、毎朝、午前3時起床で原稿を書く暮らしを20年来続けている

――著書「TSUTAYAの謎」を拝見しました。CCCの増田宗昭社長を取材したきっかけを教えてください。

川島蓉子氏(以下、川島): 日経ビジネスオンラインの連載で取材させてもらったことがあったんです。きちんとお会いしたのはそれが最初です。2013年9月にスタートした『「ダサい社長」が日本をつぶす!』(2013年9月~)という連載で、その第1回目が増田さんだったんです。連載を始めるとき、初回はやっぱり今一番会いたい人に会いに行こうということになり、ダメ元でお願いしてみたらOKが出て。

――増田さんに会いたかった理由は?

川島: とんでもないことを次々に始める人だなって(笑)。この先どこへ行くのか興味があったんです。

 六本木ヒルズの「TSUTAYA TOKYO ROPPONGI」(2003年4月)あたりから、TSUTAYAがかっこよくなりましたよね。その流れは、渋谷(SHIBUYA TSUTAYA、1999年12月)くらいから始まっていたのかもしれませんが、TSUTAYAがだんだんかっこよくなってきて、Tポイントが始まって、「代官山 蔦谷」(2011年12月)でがらりと変わって。その先に何があるんだろうって。

 世の中の社長や経営トップの人たちというのは、未来に向けて次にどういう手を打つか常に考えていると思うんです。増田さんは、その手が確実に見えている人。打つ手が見えていて、それをカタチ化する人なんだろうと思ったんです。

――実際に会った印象は?

川島: 初めての取材ということもあって緊張していたのであまり覚えていないのですが、嵐のようなエネルギーを持った方だなという印象でした。話したいことが山のようにあって、次から次へと溢れるように言葉が出てくる感じでしたから。

 増田さんは基本的には企画マンですから、全部がマーケティングなんですよね。だけど、語る言葉に難しさがなくて、すごく面白い。これは増田さんのキャラクターだと思いますが、人を引き込む力があります。

――増田さんと他の経営者の違いは?

川島: 先ほどもいいましたが、増田さんは経営者でありながら企画がものすごく好きだということですかね。自ら企画する経営者。現場に踏み込んでいって、企画するんですよね。

――取材して、TSUTAYAの謎は解けましたか?

川島: いや、まったく(笑)。ただひとつ分かったのは、増田さんがやりたいのは「ライフスタイル」なんだということ。生活提案なんですよね。これは一貫していて、ブレたことがない。「ライフスタイルの提案」って言葉にするのは簡単ですけど、やるのは難しい。本当にできている企業はあまりないと思います。「TREND EXPO TOKYO 2016」ではその秘密をズバッと聞きたいと思います。

(構成/辛智恵、写真/シバタススム)

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