この記事は「日経PC21 1月号 IT生活羅針盤」(2017年11月発売)から転載したものです。内容は基本的に発売日時点のものとなります。

 2年前に4万円で購入した中古のノートPC「ThinkPad T520」(図1)。2011年発売の古いモデルのためか、何をするにも動作が遅い。起動に時間がかかるのはもちろん、スリープからの復帰、ソフトの起動、ウィンドウズアップデートに至るまで、とにかく待たされる。

図1 筆者が2年前に購入したレノボの「ThinkPad T520」。スペックは15.6型液晶、コアi5、HDD320ギガ、メモリー4ギガでウィンドウズ7を10にアップグレードして使用している。マイクロンのSSD「Crucial BX300」はアマゾンで購入した
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 実は以前から、遅さの原因は内蔵ハードディスク(HDD)と踏んでいた。起動直後などHDDのアクセスランプがつきっぱなしで動作が重くなるためだ。そこで、記憶装置として半導体素子を利用するSSDに換装し、一連のストレスを解消したいと思い立った。ただ、格安な中古PCに多額の投資をするのはしゃく。最小限の出費にとどめたい。

 そして白羽の矢を立てたのが、マイクロン製「Crucial(クルーシャル)BX300」。容量240ギガで、元のHDDと比べると80ギガほど小さくなるものの高速化が期待できる。何より1万1479円(税込み)と価格が手ごろだ。安さだけではなく、記憶素子がMLCで、一般に格安品に採用されているTLCよりも製品寿命が長いのもありがたい。メーカーのサイトには換装方法の解説や動画が掲載され、作業がわかりやすい点も好感が持てた(図2)。

図2 SSDは採用している記憶素子(セル)の種類によって製品寿命が異なる。一般に店頭で入手できるのはTLCとMLC[注1]。TLCは低価格で書き換え可能な回数が低いといわれているが、大半のSSDには3年保証があるので問題は少ないだろう。[注1]SLCはSingle Level Cellの略。MLCのMはMultiple、TLCのTはTriple
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 実際、不慣れな筆者でも数分で換装できた(図3)。そしてUSBメモリーからインストーラーを起動してウィンドウズ10を新規インストールし、よく使うソフトを10本ほど組み込んだ。一連の作業は2時間ほどで完了。驚きの手軽さだ。

図3 換装作業はノートのバッテリーを取り外した後、本体の裏蓋を外し、内蔵HDDを取り出す。アダプターをSSDに付け替えてスロットにはめ込み、裏蓋を閉じて完了だ。文系女子の筆者でも、数分で終わる簡単な作業だった[注2]。[注2]モバイルノートなどパソコンの機種によっては、内蔵HDDを取り外せないものがあり、その場合、換装は難しい
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 SSDに換装後は、今まで待たされ続けた時間がウソのようになくなった(図4、図5)。専用のソフトを使えば、さらなる高速化も見込める(図6)。

図4 SSD換装前後で、ウィンドウズ10の起動時間(自動ログインしてデスクトップ画面上のアイコンが完全に表示されるまで)、アウトルックの起動時間(受信トレイが表示されるまで)を比較。換装後が圧倒的に速い
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図5 ベンチマークテスト「CrystalDiskMark」(ひよひよ氏作)で比較した[注3]。単位はメガバイト/秒。HDDの遅さはランダムアクセスが原因だ。[注3]TLC搭載の「Crucial MX300」でも同様のテストを実施したところBX300と変わらぬ結果だった。なおBX300は120ギガ〜480ギガと小容量しかないが、MX300は275ギガ〜2テラと選択の幅が広い
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図6 付属の設定ソフト「Storage Executive」で「一時キャッシュの有効化」をクリックすると、飛躍的に性能が向上する場合もある
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 遅いパソコンはいわば「時間泥棒」。貴重な時間を浪費させられている人は、すぐにでもSSDへの換装を勧めたい。わずかな出費で生活が一変する。

(文/青木 恵美)