「クラフトビール」という言葉が耳に入るようになって久しい。1994年の酒税法改正により、小規模なビール醸造所(マイクロブルワリー)と地ビールが全国に続々と誕生した。90年代後半から2000年初頭にかけ隆盛と衰退、その後の停滞を経て、地ビールはクラフトビールと名を変えて復活を果たす。現在の第二次クラフトビールブームともいうべき盛り上がりは、やがて減退に向かうのか、それとも一つのジャンルとして定着するのか。本特集では、さまざまな角度からスポットを当てた「クラフトビールの今とこれから」を探る。

大手がクラフトビールに進出、キリンが惚れた“BB”とは?

 クラフトビールのワードがメディアに頻出するようになったのは2015年だ。2014年7月にキリンがクラフトビールへの本格参入を発表したのを皮切りに、翌年からアサヒ、サントリー、サッポロと、いわゆる国内4大ビールメーカーが次々とクラフトビール醸造に乗り出した。コンビニやスーパーなどの流通網に乗るビールは消費者が手に入れやすく、またメディアへの登場が飛躍的に高まったことから、2015年を「クラフトビール元年」とする声も多い。

 なかでもキリンは同社が“クラフトビールラインアップ”と位置づけている「グランドキリン」シリーズの発売を2012年から開始。2014年9月にはクラフトビール国内最大手のヤッホーブルーイング(長野県軽井沢町)と業務提携し、2015年1月にはキリンビール100%子会社「スプリングバレーブルワリー(以下、SVB)」を設立した。東京・代官山と神奈川・生麦の醸造所兼レストラン「SVB東京」「SVB横浜」で、さまざまな味わいのクラフトビールを提供している。

 そのキリンが、米国ニューヨーク州の「ブルックリン・ブルワリー(以下、BB)」と資本を提携し、日本におけるBB事業を展開する合弁会社「ブルックリンブルワリー・ジャパン」を2017年2月に設立。3月よりBBのメイン商品「ブルックリン ラガー」(350ml缶、15L大樽)の販売を開始した。大手ビールメーカーのキリンとBBが手を組んだことが、著者としては興味深く感じられる。

キリンビールは3月から「ブルックリン ラガー」の350ml缶、15L大樽を全国で販売。6月 20日には330mlびんを追加する
[画像のクリックで拡大表示]
キリンはブルックリン・ブルワリーと「ブルックリンブルワリー・ジャパン」を2017年2月に設立。写真はブルックリン・ブルワリーのロビン・オッタウェイ社長(左)とキリンビールの布施孝之社長(右)
[画像のクリックで拡大表示]