ネットを通じて不特定多数の個人(支援者)から資金を募るクラウドファンディング。認知度向上にしたがいマーケット自体も飛躍的に拡大しており、1000万円以上の資金調達に成功するプロジェクトは格段に増えている。この連載では、「Makuake」を運営するマクアケ(旧サイバーエージェント・クラウドファンディング)取締役の坊垣佳奈さんが、クラウドファンディングの最前線を語る。今回は、電動ハイブリッドバイク「glafit」で1億2800万円の資金調達を実現したglafitのCEO鳴海禎造氏と対談。大成功を収めた要因やglafitバイクの開発秘話、今後の展望などを聞いた。

――1億円突破は、「想定通り」のことでしょうか。

鳴海禎造氏(以下、鳴海): 開始当初から「1億円に到達しないと次のステージには進めない」という感覚は持っていました。いくかどうかは別として。

 glafitバイクは、特定のユーザーに向けたコンセプトモデルではなく、世の中の新しいインフラとなる製品を目指しています。電動バイクや自転車に続く「二輪車の第三の選択肢」というイメージです。現在は海外で生産していますが、いずれは国内生産、できれば地元和歌山県で生産体制を作りたいと思っています。これらの考えを実現させるためには、月1000台は売れるようなマーケットを生み出す必要があります。こういった背景から、今回のクラウドファンディングは資金調達だけでなく、市場の存在を確認するため、という目的もありました。

glafit代表取締役の鳴海禎造氏。1980年、和歌山市生まれ。15歳のときから商売を始め、2003年にカーショップ「RMガレージ」を個人創業。2008年に自動車輸出入業「FINE TRADING JAPAN」を設立。2011年には中国広東省、2012年には香港に現地法人を設立。2012年、日本を代表する次世代乗り物メーカーとなることを見据えてメーカーブランド 「glafit」を立ち上げ。2015年には、和歌山県初の新電力事業者(PPS)となる和歌山電力の立ち上げに協力、取締役に就任。2017年、glafitブランドとして初めての乗り物「glafitバイク」を発表。glafitを設立し代表取締役に就任。
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坊垣佳奈氏(以下、坊垣):  glafitバイクが1億円を超えるほどの資金調達に成功した理由はいくつか有ります。大きな要因として挙げられるのは、基本的なことですが「商品自体がとても魅力的だったから」だと私は感じています。Makuakeではこれまでに3000近いプロジェクトのクラウドファンディングを実施してきました。最近では、支援者のリピーターも増え、支援者が各プロダクトの製品力、サービス力をしっかり見極めるようになっています。それだけに、多くの支援が集まるかどうかのポイントは、Makuakeの情報発信力や企業の知名度だけでなく、その製品が「消費者のニーズをちゃんととらえた、高品質の製品か」という点が重要になります。

 glafitバイクは、電動バイクモードにも自転車モード※注1にもなり、しかも折りたたんで手軽に持ち運ぶことも可能です。まさに「いままで実現できると思わなかったニーズ」を現実のものにしているわけです。だからこそ、多くの支援者がひと目で「これが欲しかった!」と感じたのだと思います。

※注1.自転車モードでも、法律上は原付バイク扱いのため、免許携帯やヘルメット着用、車道を走行する必要があります。

マクアケ取締役の坊垣佳奈さん
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鳴海: 予想外だった点をあえて挙げるとすれば、わずか3日間で初回分として用意した405台を完売、追加した595台も1カ月以内で売り切れたという「スピード感」でしょうか。11万円を超える価格、原付バイクの免許や自賠責保険への加入も必要という点を踏まえれば、当初は緩やかに売れ続けて3カ月間で完売できればよいと考えていたからです。

社内のエンジニアがデッサンした、glafitの初期イメージ
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