数字だけでは表せない「信用」や「発展性」という新たな指標に

━━クラウドファンディングを実施した企業に対して、融資をする基準などはあるのでしょうか。

越野: 意外かもしれませんが、クラウドファンディングの結果にかかわらず、企業に融資する可能性はあります。なぜなら、クラウドファンディングの結果はあくまでも判断材料の1つであって、絶対的な指標ではないからです。いままでは決算などの数字が重要な判断材料だったわけですが、そこに新しい要素としてクラウドファンディングが加わったという感覚です。

坊垣: クラウドファンディングも、「金額」や「支援者数」といった数字ではあるのですが、いままでとは違う画期的な数字と言えます。そこには、数字だけでは表せない「信用」や「発展性」みたいな要素が含まれていると私も感じています。

越野: まさにその感覚です。これまでの金融機関の融資は画一的で、決算書の数字や現在の商品などから判断するため、どこか机上だけで議論しているような印象もぬぐえませんでした。しかし、近年は「事業性評価」という言葉がフォーカスされ、財務データだけに依存することなく、企業の事業内容や成長の可能性などを評価して融資することが求められています。当金庫としては、クラウドファンディングを通じて、取引企業の本当の姿を見出すことができると感じています。

 例えば、日本酒バル「SakeLaboTokyo」を展開するジャパンテイストには、新規出店の際に、当金庫を通じてクラウドファンディングをご利用いただきました。それから1年とたたずに、別店舗にて2回目のクラウドファンディングも実施し成功しました。これに当金庫が融資を行ったのは、単純にクラウドファンディングの結果だけで判断したからではありません。クラウドファンディングの成功を含め、PRを積極的に行う姿勢や企業経営を着実に軌道に乗せたこと、そこからのさらなる発展を見込めたことが、融資の大きな判断材料となりました。

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ジャパンテイストが経営するレストラン「SakeLaboTokyo」。ワイングラスで飲むという、新しい日本酒の楽しみ方を提案している

坊垣: クラウドファンディングが純粋な資金調達のツールではなく、PRやマーケティングのツールとなったことで、信用や発展性を生み出していると思います。また、ジャパンテイスト様の場合は店舗でしたが、商品であれば流通販路が拡大することで次のステップにつながるケースもあるでしょう。そこも含めて、融資の判断につながっているわけですね。

越野: その通りです。また、「SakeLaboTokyo」は東京都北区の十条駅近くに出店したのですが、一般的な金融機関では、主観的に都心と比べて立地条件を懸念する審査担当者も少なくないと思います。ところが、クラウドファンディングで実績を示せれば、審査担当者の考え方も変わります。先入観ではなくリアルなデータが得られるわけですから、より正確に融資を検討できるわけです。