「非金融」の事業サポート強化を狙い、クラウドファンディングに着目

━━「NACORD」では、どういった取り組みを実施しているのでしょうか。

越野: 「NACORD」は、地域企業の魅力を発信したいという思いから生まれたウェブメディアです。「ヒト・モノ・マチをつなぐ」をコンセプトに、地域や事業者をトータルでサポートするためのコンテンツを展開しています。

 そのなかのキーコンテンツとして設けたのが、Makuakeさんと連携している「クラウドファンディング」。ここでは帯広信用金庫、高山信用金庫、岐阜信用金庫、にいかわ信用金庫の4金庫と当金庫が協定を結び、異なる地域の利用者同士をつなげることで、ビジネスマッチングや販路拡大を目指しています。なお、2017年2月14日時点でのクラウドファンディング掲載案件数は37件(城北信用金庫の案件は27件)、合計調達金額は3972万3512円(城北信用金庫の案件は2173万1462円)、合計支援者数は5355人(城北信用金庫の案件は2074人)となります。

 また、クラウドファンディング以外のコンテンツとしては、「マガジン」や「プロダクト」を用意します。マガジンでは各企業の背景やアイデアを、プロダクトでは商品そのものを取り上げることで、地域企業の魅力を発信しています。この流れで行くと、クラウドファンディングはその企業の最新の取り組みをチェックできるコンテンツといえるでしょう。

坊垣: 「NACORD」はとても特徴的な取り組みで、城北信用金庫さんはこれを意欲的に進めていますよね。Makuakeではすでに40以上の金融機関と連携していますが、同様の取り組みを推進しているところはあまり見かけません。どんな理由で「NACORD」をやろうと思ったのですか。

越野: まず前提として、金融機関の業務には「金融」と「非金融」の機能があります。大きく分けてお金に直接まつわる部分が「金融」、それ以外が「非金融」となります。例えば「利用者のビジネスに対するサポート対応」などが非金融のひとつとして挙げられます。

 そういったなかで、当金庫には「金融機関は、もっと融資先のビジネスに興味を持つべきではないか」という問題意識がありました。取引企業に対して融資以外でどんな支援ができるのか。そのひとつとして考えついたのが「プロモーションのサポート」でした。

「融資以外の支援として、プロモーションのサポートを思いついた」と語る越野さん
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 そもそも、中小企業は魅力的な製品を作ったり、それを作るための優れた技術を持っていますが、商品の特徴や魅力を伝えることまで得意というわけではありません。そこで、マーケティングやプロモーションのツールとして注目を集めているクラウドファンディングを活用すれば、金融機関でも製品の特徴や魅力を伝えるお手伝いができると考えたわけです。

 また、これまで当金庫は取引先企業の情報をB to Bで伝えてきましたが、B to C、つまり一般の生活者に伝えることはあまりできていませんでした。「NACORD」ではウェブサイトを作って情報を発信していますが、それだけで多くの人に企業や製品の魅力を伝えることは難しいでしょう。その点、Makuakeさんのウェブの世界における情報の拡散力は桁違いですし、地域企業と生活者をつなぐことのできるメリットには大きな魅力を感じています。

坊垣: 政府の戦略が基本ベースにあったとはいえ、それが良い形で中小企業を幅広く支援する取り組みになったと私も感じています。さらに、単純にクラウドファンディングの仕組みを見せるだけでなく、中小企業の商品や技術を支援するというブランディングにも成功していると思います。

「クラウドファンディングは、中小企業の商品や技術の支援にも役立っている」と語る坊垣さん
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越野: 幅広い支援という観点では、新たなビジネスマッチングもすでに生まれています。例えば、「NACORD」やクラウドファンディングのページを見た企業が商品そのものではなくその企業の技術力に興味を持ち、「その技術をうちで利用したい」といってB to Bで発展したケースもありました。このような企業同士のマッチングは、金融機関が間に入っているからこそスムーズに進むと感じています。