ネットを通じて不特定多数の個人(支援者)から資金を募るクラウドファンディング。クラウドファンディングはインターネット上で完結するサービスであるため、「どんな製品なのかを実際に見たい」といった声にどう応えるかは、顧客満足度を高めるうえで考慮すべきポイントだ。この連載では、「Makuake」を運営するマクアケ(旧、サイバーエージェント・クラウドファンディング)取締役の坊垣佳奈さんが、クラウドファンディングの最前線を語る。今回は、Makuakeの人気プロダクトを常設で展示・販売する取り組み「Makuake SHOP@東急ハンズ渋谷店」を企画した、東急ハンズ渋谷店のユニットリーダー・中村勲氏と対談。リアルな売り場の設置に至った背景やお互いのメリット、さらには今後の展望などを聞いた。

──Makuake SHOPを始めたきっかけは?

中村勲氏(以下、中村):きっかけを語るうえでキーワードとなるのは、情報の「スピード感」と「バリエーション」です。東急ハンズはさまざまな手段で取り扱う新商品を探していますが、個々のメーカーへ地道に足を運ぶことも少なくありません。ただ、このやり方は当然手間がかかりますし、そのメーカーの商品しか見られないという弱点があります。そのため、掘り出し物を探すことの大変さや難しさは、日々実感するところです。

 一方で、Makuakeさんの場合は企画段階から多彩な情報を手に入れられますし、東急ハンズの業態からなかなか結び付きにくいフード系やファッション系、エンタメ系などのプロジェクトも多数取り扱っています。迅速な情報収集が可能になるとともに、いままでにないコンテンツとのコラボレーションが期待できる意味で、今回の取り組みは当店にとってかなり魅力的だったわけです。

 さらにもうひとつ、一番重要ともいえるのが「客観的な視点」でしょう。というのも、各メーカーは自社商品に対する愛情や思い入れがあるため、時にはそれが“世間とのズレ”を生んでしまうこともあるからです。その点、Makuakeさんは中立的な立場で冷静な判断ができますから、我々としても心強い存在だと感じています。

東急ハンズ渋谷店のユニットリーダー・中村勲氏。1989年、東急ハンズ入社。2015年、渋谷店統括マネージャー。2018年4月より現職
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坊垣佳奈氏(以下、坊垣):Makuakeとしては、クラウドファンディングで誕生した良質な製品を「継続的な販売にどうやってつなげていくか」を常々思案しています。これは、プロジェクト実行者の多くが流通や小売業界とのつながりを持っていないため、せっかくプロジェクトが成功してもその後の事業継続や拡大につながりにくいことがあるからです。リアルな店舗や売り場を持たないMakuakeの立場で、プロジェクト実行者にどういったアフターフォローができるのか。試行錯誤するなかで生まれたのが「Makuake SHOP@東急ハンズ渋谷店」でした。

マクアケ取締役の坊垣佳奈さん。実行者の事業継続性を高めるため、「流通とのパイプを太くしておくのもマクアケの役目」と語る
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