クリエーターをサポートする場にも育てたい

――今後はどういった展開を考えていますか?

坊垣:まずは「Makuake SHOP@東急ハンズ渋谷店」自体をもっと充実させていきたいです。例えば、より大きなスペースの利用が可能になれば、自転車の試乗会やプロジェクト実行者の説明会などを実施することも可能になるでしょう。そういったにぎやかなイベントは、渋谷の街や東急ハンズさんの雰囲気にマッチすると思います。

 また、東急ハンズさんには商品購入を目的とした人ばかりでなく、モノづくりを目的としたクリエイターも多く訪れています。こういった客層には、「支援者が一緒になってモノづくりを盛り上げていく」というクラウドファンディングのコンセプトがより伝わりやすいと思うので、そういった部分を活かせるような取り組みも進めていきたいですね。

中村:我々としても、物理的なスペースの拡張は将来的に進めていきたいところです。また、クリエイターが多く訪れるという点は確かにあり、中にはMakuakeでクラウドファンディングをやってみたいと考えている人が、成功したプロジェクトの商品をチェックしに来るケースもあるでしょう。そういったクリエーターをしっかりサポートできるようなプラットフォームとして、「Makuake SHOP@東急ハンズ渋谷店」を育てていきたい思いもあります。

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Makuake SHOP@東急ハンズ渋谷店の人気商品。左がLEDランタン「LUMENA」(1万1000円)、右が肉球をイメージしたPCマウス「PnittyMouse」(5500円)。価格はすべて税別

中村:また、現在の渋谷は大きな変革期を迎えており、東急ハンズ渋谷店の周辺も渋谷区役所や渋谷公会堂の建て替えなどによって様変わりしました。2020年を迎えれば状況が変わるとはいえ、現時点での渋谷の地力は「明らかに弱くなっている」といって間違いないでしょう。お客様に店舗まで足を運んでもらうためには、さらに満足度を高めたり、新しい付加価値を与えられたりするような、いままでにない取り組みにチャレンジしていくことが求められるでしょう。

 そういった背景を踏まえると、これまでが「モノありき」だった東急ハンズとしては、モノ以外の何かで新しい展開ができないものか。そんなことも画策しています。例えば、最近は「コト消費」がトレンドだったりもするので、売り場でのイベントや体験を上手く絡めてビジネスにつなげていくのもありでしょう。具体的なアイデアはまだありませんが、自社とは違う価値基準を持った外部組織と一緒にやることは、非常に大きな価値を生み出すと思っています。

坊垣:とても興味深い提案ですね。どんなチャレンジであれ、消費者が求めているのであれば、それを形にしていくことがMakuakeの存在意義だと私は思っています。近年は、時代背景にあわせて新しいビジネスの手法や顧客との向き合い方に取り組んでいる企業も多いですから、我々としても幅広くサポートしていきたいと思います。

中村:そのほか、東急ハンズ渋谷店は2018年9月に開店40周年を迎えます。このタイミングで新卒入社1期生が定年退職を迎えるのですが、渋谷店では2016年から知識豊富なこの熟練社員を接客のプロとして活用する新しいプロジェクトを開始しました。さらに、熟練社員と新人社員によるプロジェクトチームも結成し、アナログ世代とデジタル世代による新しい「コト消費、ヒト消費の提案」にも取り組んでいます。こういった新規の活動を積極的に進め、新しい価値観の創造につなげていきます。

(撮影:山田慎二、構成/近藤寿成=スプール、持田智也)

坊垣 佳奈
マクアケ(旧サイバーエージェント・クラウドファンディング)取締役
氏名 1983年兵庫県姫路市生まれ。2006年同志社大学文学部心理学専攻卒。2006年にサイバーエージェント新卒入社。新入社員のときにサイバー・バズの立ち上げに携わる。2010年にマネージャー、取締役に昇格。その後、ゲーム事業子会社2社を経て2013年、マクアケ(旧サイバーエージェント・クラウドファンディング)設立と同時に取締役就任。主に大型プロジェクトのコンサルティングと広報PRを兼務しながらクラウドファンディング市場の拡大、ビジネスとしての成立に挑んでいる。